「エロイカ」のスコア表紙

「ベートーヴェンの交響曲」マルティン・ゲック著、北川千香子訳(音楽之友社/2017.10)という本を読んでいたら、下記のような記述があった。
写譜師ベンヤミン・ゲーバウアーによる「英雄」のスコアで、ベートーヴェン所蔵のもの。自筆譜は消失している。「シンフォニア・グランデ(大交響曲)/ボナパルトと題する(判読不可能)/ルイ・ヴァン・ベートーヴェン氏による」という文言はゲーバウアーが書き入れた。その下には、ほとんど読み取ることができないが、「ボナパルトに捧ぐ」というベートーヴェンの鉛筆書きがある。別の人の手で「交響曲第3番作品55」と「(1)804年8月」と付け加えられた。「ボナパルトと題する」の部分は、後にベートーヴェンによって激しくかき消されたために穴が空いている。
画像


ここまでは有名な話で誰もが知っているが、問題はその先(以下引用だが通常書体)。
端にはベートーヴェン自身の筆によるメモがある。
注意1:第1ヴァイオリンのパートには、同時に別のパートも部分的に書き込むこと
注意2:第3ホルンは、第1および第2ホルンも演奏できるように書いた
注意3:オーケストラのなかでのホルンの配置は第1ホルンが二人のホルンの間に来るように


注意1はともかく、注意2、3が興味深い。
まず注意2、原文に当たらないとはっきりとはわからないが、
①第3ホルン(パート)は必要に応じて、第1、第2ホルンパートに重ねることができる
②第3ホルン(パート)は必要に応じて、第1、第2ホルンが代わってそのパートをうめることができる
③第3ホルン(パート)は必要に応じて(第二楽章135小節など)、第1、2ホルンパートがそのパートを重ねることができる
などいろいろな解釈ができる。
注意3は明確だが、このような配置で実際に演奏している例を私は知らない。
作曲家の意図を尊重するという前提に立てば、このような並びで演奏すべきなのだろう。
(以下3/19追記)
音楽之友社に問い合わせたところ、上記コメントの原文は下記の通りとのこと。
Das dritte Horn ist so geschrieben, daß es sowohl von einem pruriario als Secundaria geblasen werden kann.
ということで、やはり、「第3ホルンは第1,2ホルン両方によって演奏されることが可能なように書かれている」、
という意味になる。
もし、第3ホルンがいなくても第1,2番奏者によってそのパートを演奏することが可能、もしくは、第3ホルン(だけの箇所は)第1,2ホルンがそれに重ねてもよい、という意味なのだろうか?

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

pfaelzerwein
2018年03月17日 21:04
やはりこれはヴィーナーホルンでのように、機能的なホルンとの差異で、現代では必ずしも一番が真ん中で左右と補完し合うという関係にはないということでしょうか?
2018年03月19日 20:37
pfaelzerweinさま
いつもコメントありがとうございます。私もよくわかりませんが、隣にいるとコミュニケーションがとりやすいことは事実だと思います。

この記事へのトラックバック

  • 最近読んだ本 2018/3

    Excerpt: ●「楽器博士佐伯茂樹がガイドするオーケストラ楽器の仕組みとルーツ」音楽の友編(音楽之友社/2018.3) 「音楽の友」に連載した「楽器ものしり講座――オーケストラをもっと楽しく」を再編集したもの。楽.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2018-04-02 22:18