「楽器の音域・音質・奏法」

トム・ゲルー,ディヴ・ブラック著/元井夏彦訳/八木澤教司監修(ヤマハミュージックメディア/2016.8)
エッセンシャル・ディクショナリー シリーズで、前巻は「楽典 楽譜の書き方」(2015.4)だった。
http://zauberfloete.at.webry.info/201505/article_2.html
主な対象者は作曲者や編曲者などを想定しているのか、「音域、一般的な特徴、作曲・編曲のためのヒント、技術的な配慮」という構成になっている。前巻同様、今回も興味深い内容。
編集/構成上、楽器名がアイウエオ順なのは辞書のせいなのか。とはいえ、弦・管・打楽器などで大分類をしているにもかかわらず、その中で同族楽器がバラバラに出てくるのはやや違和感がある。あと、せっかくであれば各楽器の写真も掲載して欲しかったと思う(特に打楽器)。
以下、気になった点。
「コントラアルト・クラリネット(Contra Alto Clarinet in E♭)」の項
一般的な特徴の中で、
E♭管のコントラアルト・クラリネットは、アルト・クラリネットよりピッチが1オクターヴ低いため、E♭管のコントラバス・クラリネットとも呼ばれる。
と書いてあるのだが、アルトクラリネットより1オクターヴ低いクラりネットなのだから、「コントラ・アルトクラリネット」と表記するのが普通だと思うが、「コントラアルト・クラリネット」はやや違和感はある(なお「コントラルト・クラリネット」は間違い)。
http://zauberfloete.at.webry.info/201108/article_14.html
あと、ファゴットの項。さすがにF管という記述はなかったが、作曲・編曲のためのヒントの中に以下のような記述がある。
淡い、ぼやけた感じのファゴットの音色は、ほかの楽器の音をなぞらせるのに最適だ。ファゴットの音は、なぞる楽器の音と溶け合う傾向がある。ファゴット自体の音は、なぞっている楽器の音より目立たないが、重なった音はより豊かで、増強された響きになる。
上記の点は、私がいつもバッハのカンタータの通奏低音や、ハイドンの初期~中期シンフォニーのチェロ/バスパートを演奏する時に気になっている点である。
まず、「淡い、ぼやけた感じの」音色という表現は、バロックファゴットの場合にはあてはまるが、現代楽器、特に私の音色は結構輪郭がはっきりしている(と自分では思っている)ので、それだけに、他の楽器 特に弦楽器と重ねた場合にはその輪郭がよりクリアになる傾向はある。
本番や練習の録音を聴くと、なぞって/重ねているチェロ/バスよりもファゴットの方がより目立ってしまっている場合もあるのだが、時には、チェロ、コントラバス、ファゴットの三者あるいはオルガンを加えた4つの楽器が一つの楽器のように響くこともある・・・。やはりそのような状態が理想なのだろう。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 最近読んだ本 2016/8

    Excerpt: ●「楽器の音域・音質・奏法」トム・ゲルー,ディヴ・ブラック著/元井夏彦訳/八木澤教司監修(ヤマハミュージックメディア/2016.8) http://zauberfloete.at.webry.inf.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2016-08-31 21:08