パート譜のチェック~ベートーヴェン:交響曲第6番~

来年春の演奏会で(再び)「田園」を演奏する。
今回の楽譜は団所有のBreitkopf & Haertels版。私は日本楽譜出版社版(私が中学生時代に初めて買ったスコアだった)しか持っていなかったため、とりあえずジョナサン・デル・マーによるBaerenreiter版スコアを購入、さらにIMSLPライブラリーで、Breitkopf & Haertels(1863)を参照しつつ、パート譜のチェックを行った。
ベーレンライター版の「田園」は昨年演奏したが、従来の楽譜とは少なからず相違点が見受けられた。
http://zauberfloete.at.webry.info/201006/article_2.html
今回はブライトコプフ版ということで、いわゆる慣用版。日本楽譜出版社版も基本的にはブライトコプフ版に近いとはいえ、細部は微妙に異なっている。原則としてブライトコプフ版に準拠しつつ、ベーレンライター版を適宜参照しながら各パート譜のチェックを行った。
意外にも、ブライトコプフ版はベーレンライター版(≒自筆譜)に準じている箇所もあり、それなりに評価もできるが、最大の問題は、スコアとパート譜の食い違いがあること。概して慣用的な演奏法のアーティキュレーションをわざわざ書き入れてある箇所が少なくなく、例えば第三楽章の60小節以降の各小節にスラー/テヌート・スタッカートが書き込んであったりする。他にも、元々何の指定もない箇所にスラー・スタッカートなどが書き込んである箇所が多い。慣用的にはそのように演奏することが少なくないとはいえ、余計なお世話とも思う。
全体的には、ヴィオラ・パートに明らかな音の間違いが一箇所あった他は強弱記号が抜けていたり、スラーなどの有無、かけ方の微妙な違いがあった程度で特に問題はなかった。ただし、第二楽章、独奏チェロだけでなく、ヴァイオリン、ヴィオラに弱音器を付けるかどうか(ベーレンライター版は弱音器を付ける指定)については、慣用版を使用する場合でも、指揮者に確認する必要はあるだろう。
今回、ベーレンライター版の違いをあらためて見直したが、それなりに納得できる点が多いと思ったものの、気になる点もある。例えば、第二楽章61小節以降のフルートとオーボエの掛け合いのところで、62~63小節にはフルート、オーボエ両パートにはスラーが付いているのだが、それ以降64、65小節の前半まで、両パートともスラーは付けられていない。62~63小節を受けて、64~65小節のこのフレーズにスラーをかけないことはあり得ない(ベートーヴェンは敢えて省略した/アーティキュレーションを書き入れなかった)と私は思うのだが、このような箇所を「楽譜通りに演奏せよ」という指揮者が出てくることを怖れて、私はベーレンライター版を使用することを積極的に推奨できないでいる。

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この記事へのコメント

博多のオーボエ好き
2011年09月09日 12:35
中学校時代に田園のスコアを買っていたなんですごいですね。どのような中学生時代だったのか想像するだけで楽しいです。ブログを読ませていただき、高名なヨーロッパ版であろうとパート譜がかなり違っていることを今更ながらにお教えいただきました。
2011年09月09日 23:27
博多のオーボエ好きさま
いつもコメントありがとうございます。
この日本楽譜出版社版のスコアは、私が買った時には250円(現在は840円のようです)だったのですが、当時のLPレコード2,000円に比べると楽譜というのは安かったのでしょうか? あと、覚えているのは日管のバリトンが18,000円、ユーフォニアムが33,000円でした。

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