アンサンブル・ウィーン演奏会

アンサンブル・ウィーンの演奏会を聴いた(横浜市神奈川区民センター かなっくホール)。
メンバーは下記の通り。
○ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)/ウィーン・フィル コンサートマスター
○ライムンド・リシー(ヴァイオリン)/ウィーン・フィル 第二ヴァイオリン首席
○ペーター・ゲッツェル(ヴィオラ)/ウィーン・フィル 第一ヴァイオリン奏者
○ヨーゼフ・ニーダーハマー(コントラバス)/ウィーン国立音楽大学教授

今年聴いた演奏会、というか、これまでに私が聴いたすべての演奏会の中でもベスト5に入る素晴らしい演奏会だったと思う。音楽は本当に「音」を「楽」しむものであるということを実感する。何より聴いていて無茶苦茶楽しい。弾いている方々も楽しそうで、もうこれ以上望むものはないほど完璧で見事な演奏だった。
深々としたコントラバスの響きの上に2つのヴァイオリンとヴィオラが歌い、リズムを奏でる。単純な四声の音楽でありながら、なぜこれほど心に響くものなのか・・、聴いていて最初から最後まで、感動と興奮と高揚感を抑えることができなかった。
曲目は下記の通り。
○モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」より 序曲、「もう飛ぶまいぞ」、「恋とはどんなものかしら」、「もし踊りをなさりたければ」
○ランナー:「モーツァルト党」作品196
○シューベルト:ウィーンの貴婦人のレントラーD.734
○ブラームス:ハンガリー舞曲集より第1番、第3番、第5番、第7番
○J.シュトラウスⅡ:喜歌劇「こうもり」序曲
○J.シュトラウスⅠ:「パガニーニ風ワルツ」作品11
○E.シュトラウス:「粋に」作品221
○ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ「5月の花」作品17
○J.シュトラウスⅡ:トリッチ・トラッチ・ポルカ作品214
○J.シュトラウスⅡ:ワルツ「芸術家の生涯」作品316
(アンコール)
○J.シュトラウスⅡ:ポルカ「ハンガリー万歳」作品332
○J.シュトラウスⅠ:「ラデツキ―行進曲」作品228
なお、アンコールを除く最後の5曲は、事前にリクエスト募集ということで、
1.ランナー・シュトラウスⅠのワルツ
2.はやいポルカ
3.マズルカ風ポルカ
4.はやいポルカ
5.ヨハン・シュトラウスⅡと兄弟のワルツ
の5つのジャンル各5曲から構成される曲目リストから選ばれたもの。
個人的には、
3.ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ「遠くから」作品270
4.ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ「ルドルスハイムの人々」作品152
5.ヨゼフ・シュトラウス:ワルツ「わが人生は愛とよろこび」作品263
をぜひ聴きたくて投票したのだが、結果的にはポピュラーな曲目が選ばれることとなった。

まず、「フィガロ」。序曲からコントラバスの妙技に耳を奪われる。メンバー全員、オペラの演奏は手慣れたもので、声のパートの歌い方はさすがと思わせる。編曲も洒落たもので弦楽四重奏であるものの実際のオペラを聴いているような錯覚にとらわれる。
有名なランナーの「モーツァルト党」。「魔笛」と「ドン・ジョヴァンニ」の素材を巧みにミックスしつつ、本来2拍子系の曲をワルツにするなどモーツァルト党にとっては、次から次へと名場面が繰りひろげられ息つく暇もない・・。
シューベルトの曲は、本来は「16のレントラーと2つのエコセーズ」というもの。
VMSの「シューベルト舞曲集」の中にも収録されていた。
http://zauberfloete.at.webry.info/200710/article_22.html
シュトラウス・ファミリーのワルツやポルカも素晴らしかったが、このシューベルトは別の意味で絶品だったと思う。
ハンガリー舞曲集は、本来この団体のレパートリーとはやや異なって入るが、一晩のプログラムをバラエティ豊かにするために組み込まれたものと思われる。どの曲もジプシー風の歌い回しでなかなか濃厚な(?)演奏だった。
休憩後の第一曲は「こうもり」。ホーネック氏自身も「呼吸や間合いなどがオーケストラよりもフレキシブルに演奏できます」と語っている通り、アンサンブルの極致とも言える、精度が高く呼吸もぴったり合った見事な演奏だった。テンポの絶妙なユレに加え、ダイナミクスの幅の大きさと自然な強弱のつくり方には驚嘆する。それは、意図的にこうしようという計画性のあるものではなく、音楽の流れに沿った、まさにフレーズが呼吸しているかのような見事な表現だった。
リクエスト・コーナーでは、ニーダーハマー氏が流暢な日本語で司会を務め楽しく進行。
「パガニーニ風ワルツ」ではホーネック氏の超絶技巧が聴けたし、トリッチ・トラッチもオケとはまた別の凄い演奏。アンコールの「ハンガリー万歳」、「ラデツキ―」まで、一足早いニューイヤー・コンサートのような本物のウィーン・スタイルの演奏を聴くことができた。
それにしても、4つの弦楽器だけでここまで表現できるものとあらためて知らされた演奏会だった。本当に実演を聴くことができて良かったと思う。素晴らしかった。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

博多のオーボエ好き
2010年12月20日 13:12
ご文を読ませていただくだけでわくわくしてきました。次回来日の折にはぜひ聴かせていただきたいと思います。
2010年12月20日 22:09
博多のオーボエ好きさま
いつもコメントありがとうございます。機会があったらぜひ多くの方々に聴いていただきたいと思います。本当に素晴らしい演奏でした。

この記事へのトラックバック

  • ロンド/シューベルト・モーツァルト

    Excerpt: ずいぶん久しぶりにCDを買った(ネット購入)。別に節約している訳ではないのだが、聴いてみたいと思う新譜/旧譜が激減しているということなのだろう。購入したのは下記の2枚。 ●ロンド/シューベルト・モー.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2012-07-27 21:32
  • アンサンブル・ウィーン

    Excerpt: ぶらあぼ3月号を見ていたら、アンサンブル・ウィーンの来日公演のお知らせが出ていた。驚いたことに、ヴァイオリンがホーネクからダナイローヴァに代わっている。ヴィオラもゲッツェルから若い人になっていた。 .. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2013-03-02 23:57
  • アンサンブル・ウィーン演奏会

    Excerpt: 「アンサンブル・ウィーン」の演奏会(2013年6月29日フィリアホール)がクラシック倶楽部で放送された。3年前にコンサートで聴いてひじょうに素晴らしかったので http://zauberfloete.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2013-09-18 20:30
  • ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調

    Excerpt: ブラームスの最後の管弦楽曲であるこの曲は、第四交響曲が作曲された翌年の1887年に作曲された。「合奏協奏曲」からその形式の着想を得たとも言われており、ブラームスらしく地味で渋い曲であると思う。 来週.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2014-01-27 23:58
  • 第九/サッシャ・ゲッツエル=読響

    Excerpt: 録画しておいた読響の第九を観た。指揮はサッシャ・ゲッツェル、声楽ソリスト等は下記の通り。 ○ソプラノ:インガー・ダム=イェンセン ○メゾ・ソプラノ:清水華澄 ○テノール:ドミニク・ヴォルティヒ .. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2017-12-28 23:27