「ビドロ」のチューバ

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私は中学時代にユーフォニアムを吹いていたことがあり、そのため、昔からこのソロには大いに興味がある。
http://zauberfloete.at.webry.info/200602/article_1.html
これまでN響始めいろいろなオケのテレビ中継を観たが、大型チューバを用いる場合、ユーフォニアムで吹く場合、テナー・チューバで吹く場合など、さまざまだった。
2007/12/31に中継されたベルリン・フィルのジルヴェスター・コンサートでは、ゲスリングがテナー・チューバを吹いていたことは記憶に新しい。
http://zauberfloete.at.webry.info/200801/article_2.html
さて、今回、このラトル=ベルリン・フィルによる当日の実況盤の解説を佐伯茂樹氏が書いているということを知ったので、わざわざ図書館からCDを借りてきた。佐伯氏はオケで使われる管楽器について語らせたら、木幡一誠氏と並ぶ専門家。
http://zauberfloete.at.webry.info/200711/article_6.html
佐伯氏によるCDの解説は、予想通り大変詳しく面白い内容で、特に「ビドロ」についてわざわざ別項で解説しているほどの念の入れよう。
冒頭のダイナミクスの話、「牛車」とは別に「虐げられた人々」という意味がある話は有名だが、私の一番の関心事はチューバの話。
佐伯氏によれば、ラヴェルの時代に使われていたチューバは、現在のチューバの半分以下の大きさだったとのこと(実際に写真も添えられている)。確かに小さい・・。そして、この楽器は6本のピストンを持ち、大きなバス・チューバに匹敵する低音域も出せる。そのため音域は驚異的に広く、「展覧会の絵」もこれ一本で対応できたという。ちなみに、「ビドロ」のソロをユーフォニアムで吹く時は、他の曲は大型のバス・チューバで吹くのが通例となっている。ちなみに、このフランス型チューバを使った「展覧会の絵」は、クリュイタンス=フランス国立管弦楽団のDVDでみられるという。
佐伯氏の解説はここで終わっているのだが、私がもう少し調べてみたら面白い事実もわかった。

このフレンチ・チューバはC管で6本のピストンを持ち、その音域は4オクターブに及ぶという。そして、各ピストンの機能は下記のようになっているとのこと。
・1番ピストンを押すと1音下がる
・2番ピストンを押すと半音下がる
・3番ピストンを押すと2音下がる・・・ここまでは通常の金管楽器と同様。
・4番ピストンを押すと2音半下がる
・5番ピストンを押すと半音下がる
・6番ピストンを押すと3音半下がる 
この構造を使うことにより、広い音域がカバーできることになる訳だが、さらにもう一つのメリットがあるという。
「ビドロ」のソロはC管の記譜でも嬰ト短調(シャープ5つ)、それをB(変ロ)管の楽器で吹こうとすると、嬰イ短調(シャープ7つ!)という大変吹きにくい調性になる。しかし、フレンチ・チューバの場合、半音下がる5番ピストンを押したままにすることにより(H管の楽器になる)、臨時記号なし(イ短調)で演奏可能になるとのこと。確かに便利である。
なお、以上の解説は下記の記述を参考にさせていただいた。
http://www2.mackey.miyazaki.miyazaki.jp/MusicRoom/FrenchTuba/bydlo.html
ということで、なかなかフレンチ・チューバという楽器も奥が深いということを実感した。
なお、肝心のこの演奏だが、冒頭のプロムナード始め、「ビドロ」のソロなど大変見事なものとなっている。録音データには2007/12/29~31となっているので、テレビで観た時とは違うセッションが収録されているのであろう。

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