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zoom RSS シベリウス:交響曲第5番〜1915年オリジナル版と1919年現行版〜

<<   作成日時 : 2008/03/15 10:47   >>

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シベリウスの交響曲第5番は、ヴァイオリン協奏曲と同様、シベリウス自身により何回か改訂を加えられたことが知られている。今回、オスモ=ヴァンスカ指揮ラハティ交響楽団によるオリジナル版と現行版が一枚のCDに収められた演奏(BIS/1995・1997)を聴いた。
オリジナル版は4楽章構成で、第一楽章とスケルツォが分割されてそれぞれ独立の楽章になっていたのだが、1919年現行版ではそれが統合されることになる。また、終楽章もオリジナルでは679小節あったものが現行版では482小節に切り詰められており、全体の演奏時間もオリジナル版の方が4分ほど長くなっている。使われている素材はもちろん共通だが、構成・組み立てはかなり異なっており(オリジナル版にはバス・クラリネットも入っている)、シベリウスの苦労のあとがうかがわれる。総合的にはやはり聴き慣れてしまった現行版の方が優れていると思うが、オリジナル版にも終楽章のエンディング始め、聴くべき箇所は多い。
いずれにしても、シベリウスの創作過程を知ることができる大変興味深い録音であることに変わりはない。
このディスクには、アンドリュー・バーネット(訳:余田安弘)による詳細な解説がついており、ひじょうに参考になった。中でも、シベリウスによる手紙や日記の引用。
○「私はまだ、深い泥沼から抜け出せない状態です。でも、目ざす山はちらりと見えています・・。つかの間、神が扉をお開きになると、神のオーケストラが第5交響曲を奏でるのです。」(1914年9月22日付アクセル・カルペランへの手紙)
○「・・・複数の主題の組み合わせ。そこには不思議な魅力がある。神が天空からモザイク片をちりばめ、それを私に元通りの絵柄に戻すようにお命じになったようなものだ。作曲とはそのようなものかも知れない。」(1915年4月10日付の日記)
○「冷え冷えとした春の日差しの中を歩く。過去の悲しみや、心の傷痕がうずく。ふと、第5交響曲の力強いイメージが新たに浮かんだ。」(1915年4月18日付の日記)
○「11時10分前きっかりに、私は16羽の白鳥を見た。これはまたとない経験だ。おお、何という美しさ。白鳥たちは私の頭上を飛び回り、銀色のリボンのような残像とともに消え去った。その鳴き声はツルにも似た、木管楽器の音色だった・・・。自然の神秘、人生のわびしさ!これこそ第5交響曲の終楽章の主題だ!」(1915年4月21日付の日記)
解説には、後にアクセル・カルペランは、このホルンによる主題(Es B Es D B D C B C D B D・・)を「素晴らしい白鳥賛歌」とたたえている、と書かれている。

私が何回もこの曲を聴き進むにつれて、この箇所こそこの曲のクライマックスであり、シベリウスが最も書きたかった音楽、そして最も美しく感動的な場面と思うようになったのが、終楽章のホルンの上記主題にのって、フルート、オーボエ、クラリネット、チェロがフォルティッシモのユニゾンで歌い始めるところ(練習番号Eの12小節前)である。一般的にこのメロディは対旋律と言われるが、私はこれこそがシベリウスが聞いた白鳥の声だったと確信する。

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