移調楽器

Wikipediaによれば、移調楽器とは下記のような楽器とされる。
「ある楽器で楽譜に従って音を出したとき、ピアノなどにおけるその楽譜の音とは異なる高さの音が出るような楽器のことを言う。しかし、移調楽器とは楽器そのものの性質ではなく、ある種の楽器群では予め移調して楽譜を書くという記譜上の慣例によって生じた呼び名である。」

ということでまとめれば、移調楽器とは下記のようなものになる。
記譜音と実音とが異なる楽器のこと
○一般的には管楽器に適用され、その中でも、C管(ハ調/管)*1ではない管楽器*2が移調楽器と呼ばれる(但し、トロンボーン、ユーフォニアムなどは除く)
○具体的には、クラリネット*3、ホルンとトランペット*4、サクソフォンなどが移調楽器と呼ばれる

弦楽器の場合、一般的に移調楽器とは言われることは少ない。
しかし、調弦を変えるスコルダトゥーラは移調楽器に似た形態と考えられる(以下Wikipediaより)
「スコルダトゥーラ(イタリア語:scordatura)とは、変則調弦あるいは特殊調弦とも呼ばれ、ヴァイオリン属やリュート・ギターなどの弦楽器において、楽器本来の調弦法とは違う音に調弦(チューニング)することである。バロック時代においては珍しくない奏法であったが、弦楽器の演奏法が確立された古典派以降では、例外的な奏法となった。主に作曲者の指示により普通とは違う楽器の響きを出したい時などに、スコルダトゥーラを行う。一般に、スコルダトゥーラした楽器のための楽譜は、楽譜通り演奏すると求める音が出るように書かれるため、移調楽器となる。」

マーラー:交響曲4番第2楽章におけるヴァイオリンの a-e-h-fis の調弦は普通のヴァイオリンをハ調/C管とすれば、ニ調/D管の楽器に相当するということになる(コントラバスのソロチューニングも同様)。
また、モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K364のヴィオラの cis-gis-dis-ais という調弦は、普通のヴィオラをハ調/C管とすれば、嬰ハ調/Cis管に相当するということになる。

なお、チェロは移調楽器でないが、ト音記号で書かれたとき1オクターヴ低い音が出る記譜が19世紀頃までされていた。なお、ホルンのヘ音記号表記も似たような問題がある。

以下補足
*1 X管 とは? ※以下音名はすべてドイツ語表記(B♭は B、E♭は Esなど)とする。
木管楽器であれば「指孔を全部塞ぎ、さらに右手小指も押さえて出るドの音」
金管楽器であれば「ヴァルヴを押さずに出る自然倍音のドの音」
が、例)Bの音であればB管の(移調)楽器と言われる。

*2 C管ではない管楽器とは?
C管の楽器とは、一般的にはフルート*5、ピッコロ*6、オーボエ*7、ファゴット*8が該当する。→実音楽器と呼ばれる。
しかしトロンボーンとユーフォニアムはそれぞれB管の楽器であるにもかかわらず、記譜は実音表記することになっているため、それらの楽器は移調楽器とは言われない(F管リコーダーも同様)。

*3 クラリネット
オーケストラで使われる楽器としてはEs管、B管、A管、C管、などがあるが、C管の場合には記譜音と実音は同じとなる。
なお、バスクラリネットもB管のため移調楽器となる。

*4 ホルンとトランペット
昔の楽器は自然倍音しか出せなかったため、調性によって管を差し替え それに応じた移調譜を使い始めたという経緯がある。
現在ではトランペットの場合、B管、C管、D管、Es管、G管などさまざまな楽器があるが、C管以外は移調楽器ということになる。
ホルンの場合は、ほとんどがB管、F管(それ以外はHi-F管など特殊なもの)の楽器であり、そこから各調に読替え/移調を行うことになる。

*5 フルート
フルートはC管の楽器だが、最低音がHまで出る楽器(H足部管付きの楽器)がH管と言われることがある。この場合確かに右手小指で押さえて出る音はHではあるが、移調楽器としてのH管ではない。
アルト・フルートはG管で移調楽器。

*6 ピッコロ
以前はDes管ピッコロという楽器もあったが、現在ではほとんど使われていない。
なお、普通のC管ピッコロは実音は記譜音より1オクターヴ高い音が出るという意味で移調楽器であるが、このような場合を移高楽器※と呼ぶ。
※移調楽器の中で、特にオクターヴ単位で移調して表される楽器をいう(ピッコロ、チェレスタ、グロッケンシュピール、コントラバスなど)。

*7 オーボエ
オーボエ属のコール・アングレはF管、オーボエ・ダモーレはA管の移調楽器だが、オーボエ・ダモーレやオーボエ・ダカッチャ(コール・アングレの前身楽器)についてもバッハは実音表記していた。

*8 ファゴット
ファゴットの場合、「指孔を全部塞ぎ、さらに右手小指も押さえて出るドの音」は F なため、「ファゴットF管」説も間違いとは言えない。
コントラファゴットは、記譜よりも1オクターヴ下の音が出る。

*番外 チューバ
管弦楽曲のスコアにおいては実音あるいは1オクターヴ高い表記だが、楽器自体は B管、C管、Es管、F管など様々な種類が存在する。

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