モーツァルト・アリア集~ウェーバー三姉妹~/ザビーヌ・ドゥヴィエル

昨年秋に新譜として発売されたことは知っていたが、購入するには至らず今回、図書館で借りてきて聴いた。
http://wmg.jp/artist/sabinedevieilhe/WPCS000013315.html
予想以上に優れた演奏に驚くと同時に、初めて聴く「ソルフェッジョK.393-2 ヘ長調」には心を奪われた。
私の知る限り、これまで「アロイジア・ウェーバーのためのアリア集」/シンディア・ジーデン、ブリュッヘン=18世紀O(GLOSSA/1998)というCDがあった以外、このようなテーマ性のある録音は初めてと思う。
本盤は、モーツァルトと関わりの深かったウェーバー家の三姉妹:ヨゼファ、アロイジア、コンスタンツェのために書いたと言われる作品などを中心に構成されている。演奏は下記の通り。
○ソプラノ:サビーヌ・ドゥヴィエル
○ピアノフォルテ、オルガン:アルノー・ド・パスクァル
○指揮:ラファエル・ピション
○管弦楽:アンサンブル・ピグマリオン
○録音:2015年1月/ERATO・WARNER CLASSICS

構成、曲目は下記の通り。
1.プロローグ:純情なる打ち明け話、または期待
○「レ・プティ・リアン」K299b~序曲
○ああ、ママに言うわ *1
○人里離れた森の中でK308
○パントマイム劇「パンタロンとコロンビーネ」K446~アダージョ

2.アロイジア、我が親愛なる友
○アルカンドロよ、私は告白しよう...どこより訪れるのか私は分からぬK294
○ああ、できるならあなた様にお教えしたいものですK418
○テッサーリアの民よ!私は求めはいたしません、不滅の神々よK316 *2
○わが感謝をうけたまえ、やさしき保護者よK383

3.ヨゼーファ、または光の中に入って
○2つのバセットホルンとファゴットのためのアダージョ ヘ長調K410 *3
○やさしい春がもうほほ笑んでK580 *4
○歌劇「魔笛」K620~復讐の炎は地獄のように我が心に燃え (夜の女王のアリア)
○「エジプトの王ターモス」K345~第5番 間奏曲-アレグロ・ヴィヴァーチェ・アッサイ

4.私の愛しいコンスタンツェのために
○歌劇「魔笛」K620~神官の行進
○ソルフェッジョK393-2 ヘ長調 *5
○ミサ曲 ハ短調K427~肉体をとりたまいし者
○*6

以上の通り、ひじょうに凝った構成・選曲となっている。以下補足とコメント。
*1 K265のテーマとなった歌曲。続いて「パンタロンとコロンビーネ」というパントマイムからアンダンテという曲となる(ヴァンサン・マナックという人による編曲)。
*2 モーツァルトが書いたアリアの中でも最高音と思われるハイGが2回出てくる難曲。ドゥヴィエルの歌唱は圧倒的に素晴らしい。
*3 1783年頃、K411アダージョ変ロ長調とともにアントン・シュタートラーのためにフリーメーソンのロッジ(分団)の式典用に作曲されたとされる。
*4 1789年、パイジェッロ:「セビリャの理髪師」をドイツ語訳詩で上演するにあたり、その第三幕でロジーナが歌う差替え用アリアとして作曲された。が、歌唱声部は書き上げられているがオーケストラ・パートはスケッチしか残されていない。DECCAのコーンサート・アリア全集でグルベローヴァが歌った録音はフランツ・ベイア補筆によるものだったが、本盤も同じバージョンのように聴こえる。
*5 コンスタンツェのために書かれた、ハ短調ミサ曲の「キリエ」を歌う準備をするための練習曲と考えられている。ケッヘル第6版ではK385bの番号が与えられており、アイゼンによれば作曲年代は1782年8月ウィーンとなっている。
楽譜を見ると、ソプラノとバスの二声部しか書かれていないが、ここではオルガン伴奏で歌われている。練習曲とは思えない、崇高で天国的な美しさを持っている。
*6 なお、最後のextra trackには、有名な(?)カノン Leck mich im Arsch を「ジュピター」終楽章的に再構成したパロディ/冗談音楽が入っている。

なお、ドゥヴィエルの歌の一部は以下で聴くことができる。
https://www.youtube.com/watch?v=jlnCs5eEZs8

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