H管クラリネット

佐伯茂樹氏の著書http://zauberfloete.at.webry.info/201011/article_2.htmlの中に、モーツァルト:「コシ・ファン・トゥッテ」において、H管クラリネットの指定があるという記述があったので、さっそくスコアを調べてみた。
H管というからにはおそらく、ホ長調の曲に違いないと思い、第10番フィオルディリージ、ドラベッラ、ドン・アルフォンソのテルツェッティーノ、第25番フィオルディリージのロンドの編成を調べてみるが、私が持っているオイレンブルク版のスコアによればクラりネットは両曲ともA管の指定となっていた。
念のために、NMA Onlineのスコアを参照してみた。すると第10番ではA管クラリネットの指定だったが、第25番においては佐伯氏の指摘通りH管クラりネットが指定されていた。おそらくモーツァルトの原譜ではその指定であったのだろう。
そもそも(ソプラノ以上の)クラリネットと言えば、A管、B管、C管、D管、Es管、G管が一般的であり、H管という記述はほとんど出てこない(チェコ製のH管という写真も一部ネット上には出ていたが、高めのB管ではという意見の人もいるようだ)とはいえ、モーツァルト自身が指定したとすれば当時そのような楽器があったのだろうと考えるしかない。
コシの第25番のアリアはホ長調で書かれており、A管で吹けばト長調となりそれなりに平易な(?)調になるが、これをH管で吹けばへ長調となる。この曲のアレグロに入ってからはホルンともどもクラリネットの華麗なパッセージがあり、これを吹くにはH管の方が適していたからこそモーツァルトはH管を指定したのであろう。当時の楽器の制約による指遣いのせいなのか、それともより華やかな音色を求めてのことだったのかは今となってはわからないが・・。

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