「楽器から見る オーケストラの世界」

佐伯茂樹氏による、「楽器の歴史」、「楽器から見る吹奏楽の世界」に続くカラー図解シリーズ第3弾(河出書房新社/2010.10.30)。
失われつつある各オーケストラのローカルな楽器に焦点を当てつつ、名曲が書かれた時代の楽器や編成の違いなどが、豊富なカラー写真を交えながら丁寧に解説されている。
一見、初心者向けの入門書にも見える体裁だが、実はひじょうにマニアックな内容で、ここまで念入りに分析、解説された本は他にないと思う。初めて知る事実も多く、ひじょうに面白く、また勉強になった。
たとえば、バッハ:ブランデンブルク協奏曲第6番のヴァイオリンファミリーとヴィオールファミリーについての分析、ハイドン:交響曲第88番第二楽章におけるトランペットの使用法について(当時の楽器はD管とC管に限られていたため、ト長調の曲の第二楽章:属調の二長調で使用した・・)、他にもベートーヴェン、ブラームス、ベルリオーズ、マーラー、ラヴェルなどの有名曲での楽器の使用法について興味深く解説されている。
後半は、ウィーン・フィルとベルリン・フィルにおける使用楽器の違い(エーラー式とウィーン式クラリネットhttp://zauberfloete.at.webry.info/201008/article_14.htmlの写真も掲載されている)、フランスのオケでのバソン始め、フランス式ホルン、トロンボーン、チューバ、そして、かつてイタリアで使われていたというフルベーム式クラリネット、ヴァルヴトロンボーン、チンバッソまで、さらにはイギリスのオーケストラでのB管トランペット、Es管バスの話など興味は尽きない。
余談ながら、ウィーン式トランペットの抜き差し管に付けられた複数のキー(ハイC,ハイA,ハイHキーなど)の機能を私はこの本で初めて知った。そして、何より最も驚いたのは、モーツァルト:「コシ・ファン・トゥッテ」の中でH管(!)クラりネットの指定があるという話だった(次回に続く)。

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