湯島「鳥栄」

湯島(池之端)の「鳥栄」と言えば知る人ぞ知る鳥料理の老舗。
ミシュランの取材はお断りしたとのことで載ってはいないが、二つ星以上の評価は間違いないと思われる。
夏場はお休みになるし、とにかく予約を取ること自体が難しい店として有名。今回は特別なルートで無理を言ってこの時期に予約を取ってもらう。私自身、約30年ぶりになるが、昨年の夏の大改装で店は見違えるほどきれいになっていた。
料理は鳥鍋のコースのみ。浅い鉄鍋にスープ(ダシ汁)を入れて炭火にかけ、すべてがそれをベースとした料理となる。
鶏肉(正確には軍鶏だという)、肝、あとは葱と豆腐のみの素材をスープが煮立ったところで少しずつ入れて、肉が白くなったところでおろし醤油でいただく。鶏肉というものはこんなに美味しいものだったかとあらためて思うほど、そのしなやかな舌触りと味は素晴らしい。葱、豆腐も良い素材でこちらも見事に肉に調和する。
ひとしきり食べ終わったところで、スープだけをいただくがこれがまた絶品。何も足さなくてもそれだけで完璧なバランスの味になっており感動した・・。
そして、次に登場したのが「たたき」と称するいわゆるつくね。肉をたたきにたたいて細かく刻んだ葱を交ぜ、ねっとりと粘りの出たものに卵の黄身を落としたものが皿に盛られてくる。それを少しずつ団子状になるようにそっとすくって鍋の中に落とす。鍋から少し浮き上がってきたら食べ頃で、口に含むとふっくらと柔らかく、それが静かに溶けていく瞬間はまさしく至福の時。あまりの美味しさに気が遠くなりそうだった。
最後にご飯。一杯目はスープをかけ漬物で、二杯目はスープに大根おろしを添えていただく。そしてお茶。
言いようのないほど十ニ分に満足した鳥鍋コースだった。やはり美味しいものというのは人を幸せにしてくれる。
なお、お酒は乾杯のビールのあと、私はずっと冷酒で通したのだが、この味ならおそらくブルゴーニュか南仏の白ワインにはぴったりと思う。しかし、さすがにお酒はビールと日本酒しか置いていないとのことだった。

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