ハイドン:交響曲第86番ニ長調

私がこの曲を知ったのはつい最近のこと。
とはいえ、パリ交響曲セットはカラヤン、ザンデルリンクなどのディスクをかなり前から持っていたので、何回か聴いたことがあるのは確実なのだが、これまでは聴き流していたということなのだろう・・。
私がこの曲に目覚める(?)きっかけになったのは、ヴォルフ=セント・ポール室内O(Teldec)による演奏。昨年、「王妃(85番)」を勉強していた時に、このディスクの後半に86番が入っており、何度か聴いているうちにすっかり好きになった。
http://zauberfloete.at.webry.info/200611/article_1.html
今回購入したラトル=バーミンガム市響の演奏もなかなか高水準の演奏。そういえば、ラトルは2004年のベルリン・フィル来日公演の時もこの曲を採り上げていた。私は聴きに行けなかったのだが、素晴らしい名演だったと聞く。近々発売予定のハイドン交響曲集にこの曲が含まれていないのは残念だが、続編として録音されることを期待したい。
そもそも、ハイドン(1732~1809)という作曲家、モーツァルトより20年以上早く生まれているため、これらのシンフォニーにしても、どうしてもモーツァルトの作品より前に作曲されたのではないかというイメージがあるが、あらためてこの第86番が作曲された1786年頃の作品群をたどってみる。
○1783年 
・モーツァルト:交響曲第36番ハ長調「リンツ」K425
○1784年
・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第14番 変ホ長調K449 ~ピアノ協奏曲 第19番ヘ長調K459
・モーツァルト:木管とピアノのための五重奏曲変ホ長調K452
○1785年
・ハイドン:交響曲第87番イ長調
・ハイドン:交響曲第85番変ロ長調「王妃」
・ハイドン:交響曲第83番ト短調「めんどり」
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調K466
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調K467
○1786年
・ハイドン:交響曲第84番変ホ長調
・ハイドン:交響曲第86番ニ長調
・ハイドン:交響曲第82番ハ長調「くま」
・モーツァルト:交響曲第38番ニ長調「プラハ」K504
ということになり、この一連のパリ交響曲は「リンツ」「プラハ」と同時代の作品であるということがわかる。さらに驚くべきことは、ハイドンの「ロンドン・セット」はモーツァルトの三大交響曲よりもずっと後の時代の作品であるということ・・。

さて、この第86番、楽章構成は下記のようになっている。
1.Adagio-Allegro spiritoso /2.Capriccio Largo /3.Menuetto Allegretto /4.Allegro con spirito
第2楽章カプリッチョという表記も珍しいが、この曲の最大の聴きどころはやはり終楽章。軽妙洒脱、自由闊達、天衣無縫・・、適切な形容が浮かばないが、こんなに楽しい音楽もそうないのではと思える。
その意味で、ヴォルフ=セント・ポール室内Oの演奏はチェンバロも入った大変生き生きとした躍動感溢れる理想的な演奏。ラトル=バーミンガム市響のコンセプトもこれに近い。一方、カラヤン=BPO、ザンデルリンク=ベルリン響のドイツ的演奏は正反対のアプローチで、これはこれで素晴らしいがヴォルフの演奏を聴いてしまうともう他へは戻れない・・。
調べてみると、古くはワルター=ロンドンSO(1938)から、ディヴィス=アムステルダム・コンセルトヘボウO(1980頃)、ブリュッヘン=18世紀Oなどの演奏もあるらしい(いずれも未聴)。できればぜひ聴いてみたいと思う。

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