天才ホルン奏者:ローラント・ベルガー

ホルン奏者といえばデニス・ブレインがあまりにも有名だが、ゲルト・ザイフェルトも絶対に忘れることのできない奏者。しかし、私にとって最も大切な奏者を一人あげろと言われたら、迷わずローラント・ベルガーの名前をあげる。
「天才」「神様」「鉄人」と呼ばれた彼は、もう伝説の人になってしまったのだろうか・・。
ウィーン・フィルのホルン奏者であったハンス・ベルガーを父に、1937年ベルリンに生まれる。若くしてウィーン国立歌劇場、ウィーン・フィル団員となり、20代前半で首席奏者。その後、40代後半には3番奏者に降り、定年前に早々と引退。ウィーン国立音大の教授となり、シュトランスキーやイェブストゥルといった名手を育てる。なお、兄ホルストも元ウィーン・フィルの打楽器奏者。
そもそも私が初めてベルガーの名前を知ったのは、ボスコフスキー=ウィーン・モーツァルト・アンサンブルの演奏による、モーツァルト:セレナーデニ長調K203のレコード(DECCA/SXL6330)の余白に収められていた、ロンド変ホ長調K371だった。ウィンナホルン独特の、多くの倍音が含まれたコクがあり深く美しい音色で、その素晴らしさにいっぺんに魅了された。この演奏は未だにCD化されておらず、多くの人たちがこのCD化を待ち望んでいるはずである。そして、このボスコフスキーのセレナーデ&ディヴェルティメントの全集に収められているセレナーデ二長調K100にも、ソリストとしてベルガーの名前がクレジットされている。ここでのソロも唖然とするほどひじょうに美しくまた素晴らしい。
それ以外では協奏曲はもちろん、ベルガーの名前がクレジットされた録音は驚くほど少なく、私が知る限りでは下記の通りである(ただし、バーンシュタインとのマーラーやベートーヴェンの一連の交響曲ほかの映像盤ではベルガーの姿を見ることができる)。
・ボスコフスキー合奏団によるシュトラウス・ファミリーの音楽(1959/VANGUARD)
・ベッリーニ:歌劇「カプレーティ家とモンテッキ家」からのアリアのオブリガート(1963/DECCA)・・・静かに祈るようなアリアだが、それに寄り添う絶妙なオブリガートが素晴らしい。
・Jagd und Waldlieder der Romantik(録音年代不詳/PREISER RECORDS):男性合唱とホルン四重奏によるウェーバー、シューマン、シューベルトなどの作品集
・モーツァルト:セレナーデK375・K388、ディヴェルティメントK166・K186・K226・K227(1974/DG)
・ベートーヴェン:七重奏曲(1975/DG)・・・適度にコントロールされた、しかし大変美しいホルン、ヘッツェルのヴァイオリンもその後の新録(DENON)より優れており、これ以上の演奏はもう望めない。
・モーツァルト:ディヴェルティメントニ長調K334・・・日立が販促用に非売品として制作したディスクで私も持っていない。
また、クレジットはないものの、60~70年代のウィーン・フィルの録音の大半はベルガーが参加しているものと思われる。素晴らしいホルンの音がしたら、おそらくそれはベルガーの演奏だろう。
私がナマでベルガーの演奏を聴いたのは1975年のベーム=ウィーン・フィルの来日時。NHKホールでのベートーヴェン第4・7番というプロで、ハイF管を駆使しての第7での圧倒的な名演は言葉では表せないほど凄いものだった。なお、この時の演奏は今月末、DVDで発売される予定である。

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