カラヤン「アルプス交響曲」

連休で時間があったので久しぶりに映像モノを観た。
カラヤンの映像作品の中でも、数少ない純粋な(?)ライブもの。個人的には1977年の第九、1982年のエロイカと並んで最も優れたものだと思う。
この映像は、1983年11月20日に収録されたもの(CDは1980年録音だった)で、この時、カラヤンは75歳。足を多少ひきずってはいるが、指揮姿はまだまだ元気で、往年のように眼を閉じることもなく、しっかりとオケを掌握し、必要最低限ながらひじょうに的確な指示を出すのを見ていると、やはり他の指揮者の追従を許さない偉大な指揮者であったことを実感する。
オケは、弦楽器がコンマス:シュヴァルベ、トップサイドはシュピーラー、2ndはマース&ヴェストファル、ヴィオラは若きレーザ&クリスト、2プルトにはカッポーネ(父)もいる。そしてチェロはフィンケ&ボルヴィツキー、バスはヴィット、木管は、ツェラー、シェレンベルガー、(ザビーネ)マイヤー、ピースク、ホルン:ハウプトマン、トランペットはグロート&クレッツァー(アシ)、ティンパニは一回も映らなかったかったがおそらくフォーグラーだろう。このメンバーは本当にベルリンフィルの黄金時代の末期と言える。

静寂に満たされた「夜」。金管のコラールは暗いが決して重くならない。「日の出」に至る緻密なオーケストレーションをベルリンフィルは繊細かつ圧倒的に再現する。
続く、森、小川、滝、花畑、爽やかな牧歌、のどかでゆったりとした雰囲気、ハウプトマンのホルンが素晴らしい。
「道に迷う、氷河へ、危険な瞬間」、練習番号72の直前のカラヤンのキューの出し方はあきれるほど見事、それに応えるピースクの美しい音色と音楽的な歌い方。続くグロートの至難なソロも完璧。
「頂上にて」から「景観」あたりはベルリンフィルのパワー全開という感じで、まさに全員が嵩にかかるという表現が相応しい。特に必死でキザむカッポーネ(息子)。
霧が湧いて太陽が陰り、「悲歌」、故シュテムプニクの哀愁を帯びたイングリッシュホルン、マイヤーの美しいソロ、練習番号106番の鳥の鳴き声(?)は凄い切れ味!
雷雨と嵐から下山あたりは、スコアを見るとすごい状況だが、耳で聴いているだけだとただ圧倒されているうちに終わってしまう。
そして「日没」。ここでのカラヤンの指揮ぶりを観ていると、この曲のクライマックスは山頂でも雷雨でもなく、この「日没」であったことが確信できる。
これ以上感動的な演奏はないと思われるほどの素晴らしい呼吸とうねり・・・。オルガンの荘厳な和音とホルンのこだま。余韻を残しながら、静かにゆっくりと太陽は沈み、再び漆黒の暗闇が訪れる。

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