モーツァルト:ホルンと管弦楽のためのロンド変ホ長調K371

1781年3月21日ウィーンの日付を持つこの作品は、ウィーンでモーツァルトが自由な音楽家として初めて作曲した作品と言われている。
独奏パートのすべて、最初のページのオーケストレーション、そしてそれ以降、伴奏部分に一部指示がある程度の未完のスコアとなっている。
そして1989年*1、欠落していた4ページ/60小節が新たに発見された。
なおこの点に関しては、cherubinoさんのブログに詳しい説明がある。
http://gospels.cocolog-nifty.com/classic/2019/07/post-6e7518.html
http://gospels.cocolog-nifty.com/classic/2019/07/post-9f2f5e.html

サラ・ウィリスの演奏で、久しぶりにこの曲の(新しく発見された)オリジナル版を聴いた。
https://zauberfloete.at.webry.info/202102/article_22.html?1613650159

これまで、ローラント・ベルガ―の演奏(2014年になって初めてCD化された)ばかり聴いてきたため、付け加わった部分が耳新しい。
http://zauberfloete.at.webry.info/200807/article_12.html
http://zauberfloete.at.webry.info/200610/article_10.html
http://tower.jp/item/3503883/Mozart

この新しい版による最初の録音は、
○ティモシー・ブラウン(Hr)/ケネス・シリトー=アカデミー室内O(PHILIPS/1990.11)
で、オーケストレーションはエリック・スミスによるものだった。

ちょっと気になったので、その後どのくらい新しい版による録音があるか調べてみた。
○エリック・ラスケ/マッケラス=スコットランド室内O(TELARC/1993)
○ジェフリー・ブライアント/トマス・ダウスガード=ロイヤル・フィル(Tring/1994)
○マイケル・トンプソン/ボーンマス・シンフォニエッタ(NAXOS/1995)
○ヘルマン・ユーリッセン/ロイ・グッドマン=ネーデルランド室内O(OLYMPIA/1996)*2

手元にあったのは上記盤くらいなので、その他にもあるかも知れない。
なお、その後に録音された、パイアット(ERATO/1996)、バボラク(SONY/2005・2006)、ドール(camerata/2008)、アレグリーニ(DG/2005~7)らのホルン協奏曲集にはこのロンドは含まれていない。


*1 ザスラウ編:モーツァルト作品全事典(音楽之友社/2006)には、発見されたのは1990年とあるが、
エリック・スミスによれば、マリー・ロルフ教授によって1989年に発見されたとのこと(PHILIPS/COMPLETE MOZART EDITION, RARITIES &
SURPRISES のセットの解説書)。
また、上記ラスケ、トンプソン盤のライナー・ノーツをジョン・ハンフリーズが執筆しており、1989年に4ページ/60小節が発見されたと書いている。

*2 この録音のみオーケストレーションはユーリッセン自身、他の録音はすべてジョン・ハンフリーズによる。

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この記事へのコメント

2021年03月01日 22:26
Zauberfloete 様、こんばんは。いつもながら当方のサイトのご紹介ありがとうございます。

このK.371の再発見された1葉(4ページ)の発見年ですが、僕も以前から気になっていたので、お昼休みに職場でちょっと調べてみました。エリック・スミス教授の報告では、1989年になっているのは、貴兄のご報告どおりで、僕も以前確認していました(フィリップスの全集別巻解説、小学館全集別巻の「レコーディングを終えて」とも)。ただし、CD3のタイトル部分には、なぜか「complete version containing material discovered in 1990 by (...) : Marie Rolf」とあります(これが1990年説の元?)。
そのMarie Rolf女史のサイト(https://www.esm.rochester.edu/faculty/rolf_marie/)があり、これを見ると、以下の論文名が記載されています。

“A New Manuscript Source for Mozart’s Rondo in E-flat for Horn, K. 371.” The Horn Call 25/3 (May 1995): 23-27.

この論文はネットで閲覧できないようですが、以下のサイトに「The Horn Call」という冊子のインデックスがありました。

https://horn.studio.uiowa.edu/horn-call-index-1971-1995

その中に、当該記事の概要が記されていて、以下のようにありました。

Rolf tells of the 1988 discovery of sixty additional bars (four manuscript pages) that complete the Rondo's first episode. A brief history of the work and its manuscript is included, as are facsimiles of two of the newly found pages. (Hist, Rep)

ここには、なんと発見年は1988年とあります。無論、2次資料ですので誤植・錯誤ということもあり得ます。半信半疑でしたが、帰宅後、ベーレンライターから出ているこのロンドのPiano Reduction(Rolf女史の編曲)の楽譜の前文に、以下のようにあるのを見つけました。

However, a second manuscript for K.371, which surfaced in December 1988, revealed that the known manuscript, on which the New Mozart Edition and all the other editions were based, was incomplete not only in terms of its orchestration, but also in terms of its total number of measures.

ちなみに、上記小学館全集別巻の「レコーディングを終えて」で、エリック・スミスは「一九八九年」アメリカの収集家ロバート・オーエン=レーマンが、「4ページの草稿を手に入れた。」と書いています。ちなみにこのオーエン=レーマン氏はMarie Rolfさんの夫だそう。1988年12月に夫妻が楽譜を発見し、翌年、手に入れた(購入した)というようにも読めないことはないかも(深読み過ぎ?)。また、この全集の土田英三郎氏による解説は、「1988年12月、マリー・ロルフが個人蔵からさらに60小節分を発見」という具合に、1988年説を採っていました(多分、上記論文を読んでのことでしょう)。
以上、簡単ですが、本日の調査のご報告まで。
Zauberfloete
2021年03月02日 22:48
cherubinoさま
いつもながら詳細な調査分析結果をありがとうございます。
いずれにしても、大発見であったことに変わりはなく、今後、さらに(ほかの曲の)新しい楽譜が発見されることを期待せずにはいられません。

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