1950年代後半~1960年代初めのBPh木管首席奏者

クリュイタンスのベートーヴェン交響曲全集の録音が行われた1957年末~1960年初において、ベルリン・フィルの木管首席奏者は誰だったのかという点について考えてみたい。
まず資料として、1957来日公演プログラムに記載されているメンバー表が掲載されているサイトがあり、以下そこから引用したもの(首席奏者のみ抜粋)。
http://www.karajan.info/concolor/1957/BPOmenbers.html
フルート
 ○フリッツ・デムラー
 ○オーレル・二コレ
オーボエ
 ○カール・シュタインス
 ○ローター・コッホ
クラリネット
 ○アルフレート・ビュルクナー
 ○ヘルベルト・シュテール
ファゴット
 ○オスカー・ローテンシュタイナー
 ○マンフレート・ブラウン

次に、上記の資料を参考にしつつ、1950年~1960年代前半の首席奏者を調べてみた(カッコ内は在任期間)。
フルート
 ○ハンス・ペーター・シュミッツ(1943~1950)
 ○オーレル・ニコレ(1950~1959)
 ○フリッツ・デムラー(1950~1970頃)
 ○マティアス・リュッタース(1958~1961)
https://zauberfloete.at.webry.info/200801/article_23.html
 ○カールハインツ・ツェラー(1960~1969)

オーボエ
 ○カール・シュタインス(1949~1981)
https://zauberfloete.at.webry.info/201011/article_11.html
 ○ヴィンフリート・リーバーマン(1954~1957?)
https://zauberfloete.at.webry.info/201203/article_23.html
 ○ローター・コッホ(1957/9/1~1991)

クラリネット
 ○アルフレート・ビュルクナー(1925~1961)
*ライスターの自伝では、ライスターが首席となった時点でビュルクナーが2ndに降りたと書かれている。
 ○ヘルベルト・シュテール(1940年代?~1975頃)
 ○カール・ライスター(1959/9/1~1993)
https://zauberfloete.at.webry.info/201108/article_20.html

ファゴット
 ○オスカー・ローテンシュタイナー(1930年代~1962)
 ○マンフレート・ブラウン(1953~1985頃)
https://zauberfloete.at.webry.info/201202/article_14.html
 ○ギュンター・ピースク(1962頃~1987)

クリュイタンスのベートーヴェン全集の録音時期は1957年12月~1960年3月の間なので、上記奏者の中で、フルートのシュミッツとファゴットのピースクはトップ奏者として録音に加わっていることはないと思われる。
また、「リーバーマンがクリュイタンスの「田園」を吹いている」という説もあるが、リーバーマンは1957年頃に退団しているようなので、信憑性に欠ける(クリュイタンス1回目の「田園」の録音は1955年なのでそちらの可能性がないとは言えない)。

さて、特定の演奏を聴いてそのソロを吹いている奏者が誰か、という問題に答えるのはなかなか難しい。
演奏会であれば、その場に居合わせた人の証言が手掛かりとなるが、録音の場合、
①当人(または近くにいた人)の証言
②録音現場の写真・映像など
③録音を聴いての判断/推測
くらいしかアプローチ方法はない。

今回の場合、①当人の証言としての参考文献は下記の一点しかない。
「ベルリン・フィルとの四半世紀」カール・ライスター著、石井宏監訳(音楽之友社/1987.11)
そして、その中にはクリュイタンスとの録音の話は出てこないので、おそらくライスターはこの録音には参加していないと思われる。

次に、③録音を聴いての判断/推測。
ゴールウェイであれば「その音色を聴けばかなりの確率でわかる」のだが、
今回対象となっている中で、私がある程度その音色を知っている(聴くと何となくわかる)奏者は、
ツェラー、コッホ、シュタインス、シュテール
くらいなため、その範囲内での推測となる。

ということで、奏者は誰か?という視点(?)であらためてかいつまんでクリュイタンスの録音を聴き直してみた。
中でも、ワリと自信を持って言えるのは、第3番「英雄」のソロを吹いているのはコッホだということ。
あとは第5・6番のオーボエはコッホではない、ということくらい。ということはシュタインスなのだろうか?
クラリネットにいたっては、第6番はシュテールではないのでは、と感じたくらいでまったくわからなかった。

本当に、奏者の音色を聴き分けるということは難しい。

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この記事へのコメント

ろーたこっほ
2021年01月18日 05:50
この記事を読んで、クリュイタンスのベートーヴェンを改めて聞いています。
大昔、NHKFMで吉田雅夫氏が、芸大にリーバーマンを招聘した時の録音を紹介し、その解説で、クリュイタンスはリーバーマンのオーボエを非常に高く評価しており、自分が指揮する時はわざわざリーバーマンを呼び寄せたと語っていたような気がするのですが、あまりに昔のことで、記憶が定かでありません。
もしこの話が本当であれば、リーバーマンがクリュイタンスの録音に起用されていても不思議はないと思います。

誰がオーボエを吹いているのか、確かに判断が難しいです。
録音に鮮明さが足りないので余計に分かりにくいです。
もう聞けば聞くほどさっぱり分からなくなります(笑)。
以下、私の印象を書いてみます。

1、2、4番 自信ははないが、若きコッホか。でももしかするとリーバーマンかも。シュタインスという感じはしない。

エロイカについて何度も聞いてみましたが、コッホにしては優しすぎる感じで、木のぬくもりを感じるあたりが、リーバーマンのようにも聞こえますが、コッホも若いころは後年ほど硬い音ではなかったので、私もコッホの可能性が高いと思います。いずれにせよ上手いです。

運命はあまり聞きなれない吹き方。これがリーバーマンかも。
6番は良く分かりません。よく言われるようにリーバーマンなのか。
7番はシュタインスのように聞こえます。
8番はソロが少なく録音の問題もあり良く分かりません。
9番も録音に妙な残響が乗っていて良く分かりません。
Zauberfloete
2021年01月18日 22:59
ろーたーこっほさま
詳しいコメントありがとうございます。
私もあらためてまた聴いてみようと思っています。
オーボエ奏者の判別が難しい原因の一つに、ダブルリード楽器の宿命とも言うべき、演奏/音色に与えるリードの寄与度が大きい、つまり、その時のリードのコンディションが音色にダイレクトに影響を与える、ということがある思います。
同じコッホの演奏でも、よく聴くとその時々によって微妙な音色の違いがあるような気がします。