「ああ、私には判る、すべては消え」/モイツァ・エルトマン

モイツァ・エルトマン/「モーツァルト・ガーデン」に収録されている、
https://zauberfloete.at.webry.info/202001/article_22.html
○モーツァルト:歌劇「魔笛」から「ああ、私には判る、すべては消え」(パミーナ)
について、ライナーノーツには本人による下記のようなコメントが掲載されている。

私は心の奥深くにある繊細で傷つき易いものを表現したかったのです。聴き手にこの女性の心の中を覗かせたい――彼女は途方に暮れて何をすれば良いのかわからなくなって、死だけが自分の救いであるという状況に置かれています。私にとって最も注意すべき点は、モーツァルトのこのテンポ指定を歌い手がその意図のとおりに表現できるかどうかということです。私はこのアリアを本当にゆっくりと歌いましたが、それが作曲者の意図に添えているのか心配です。譜面には簡単に”アンダンテ”と書いてあるだけですが、その表記は私にとってはこのような遅いテンポを意味しているように思えました。これ以上少しでもテンポを速くすれば、この曲の感情的な深さを表現することはできないでしょう。

実際の演奏↓は4分27秒もかかっている。
https://www.youtube.com/watch?v=CDU2PI5s9yU
確かに、エルトマンが言うように「深さ」を表現するにはゆっくりしたテンポが相応しいという考え方もあると思う。

しかし、モーツァルトの「アンダンテ」について、アーノンクールは
18世紀において一般的だったように、モーツァルトの場合にもアンダンテはまだ速いテンポ表示の一つであった。
と述べている。
https://zauberfloete.at.webry.info/201506/article_13.html

さらに、このパミーナのアリアに関して、「新版 モーツァルト 演奏法と解釈」エファ&パウル・バドゥーラ=スコダ著/今井顕監訳/堀朋平、西田紘子訳(音楽之友社/2016.4)の巻末に付録が付いている。
https://zauberfloete.at.webry.info/201609/article_20.html?1580374049
本書ではテンポの問題について下記のように書かれている。

このきわめて本質的なテンポの問題を考える際に、心に留めておくべきことがあります。たっぷりとした響きの音はテンポを引き延ばす方向に作用する一方、音がスリムになるほどテンポが揺れるようになる、という傾向です。このことは、モーツァルトの音楽における決定的な要因のひとつとなります。軽くて透明な音を出すのが不得意な人は、流れるようなアンダンテの中で多くを表現する術を見いだせません。しかし流暢なテンポの中で個々の音符への比重がいくらか失われようとも、フレーズ全体の一貫性がこれを補ってなお余りあるのです。

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