「こうして管楽器はつくられる~設計者が語る「楽器学のすすめ」~」

先日、ヴィーナー・ヴェンティルの記事を書いたが、それ以外にも本書には参考になる点が少なからず書かれているので抜書きしておく。
https://www.ymm.co.jp/p/detail.php?code=GTB01097143
https://zauberfloete.at.webry.info/201909/article_3.html?1567689247
○音孔の直径が大きければピッチが上がり、小さければピッチは下がります。フルートやサクソフォンの音孔では考えられないことですが、クラリネットやリング・キーのオーボエ、ファゴットでは一部の音孔を直接指で操作するために、掃除を怠ると長年にわたる指の垢などが音孔に蓄積してきて実質的な直径を小さくしてくることが考えられます。また、管内からの湿気や余剰のボアオイルに埃が吸着して、同様の現象が起こると考えられます。直接指で操作する音孔は定期的な手入れをお勧めします。

○金管楽器の管内では、演奏によって強い定在波が常に起こっていますので、管内の残留物が一様に分布していくとは考えにくく、演奏音に影響された形で分布していくと思われます。もちろん、定在波による力のほかにも重力やさまざまな力が重なり合って複雑な分布をしていると思われ、これが新品の楽器から、年月を経て段々に積み重ねられていくと想像できます。「楽器を上手な人に貸したら、よく鳴るようになった」とか、「下手な人に貸したら音程が悪くなった」などという、伝説や迷信と思われていることが、このようなことに起因する可能性は否定できません。
それにもまして、初心者の方が直面するのは、次のようなことではないでしょうか?「明日演奏会だから楽器をきれいにしよう」と思って、普段はおこなっていない管内の掃除を綿密におこなったところ、「倍音のツボが変わってしまって、肝心の演奏会の本番で、ここぞという時に大事なフレーズの音を外して大失敗した」などという結果になる可能性があります。ご用心を!

○金管楽器の管体は、いろいろな部品が接続されているわけですが、その接続状態によっては、空気柱に望ましくない段差や一次的な内径の不連続を起こす例が見受けられます。(中略)
もう一つ、マウスピースのバックボアが正しく加工されていないで、結果としてマウスピースのシャンクの端面が偏肉している場合です。一方、マウスピース・レシーバに吹込管が偏芯することなくハンダ付けされていればいいのですが、この部分は往々にして、外径に対して内径が偏芯していることが多いのです。
結果として、マウスピースのはめ方によってはさまざまな反応を感じる結果となります。つまり、マウスピースをはめる円周方向場所によって、接続部の内径の絞まり方、あるいは芯ズレが変わるということです。全体的な鳴りにも影響しますが、特に高音部の特定の音のアタリや鳴りが変わることになります。
このような場合、マウスピースをマウスピース・レシーバにはめた時に油性ペンなどで印をつけて、90度ごとに演奏して反応を評価し、さらに詳細に状態の良い場所を探り出すと、マウスピースをはめる望ましい場所が見つかることでしょう。どの角度で演奏しても変わりがなければ、そのマウスピースと吹込管の状態は理想的であると言えます。


などなど、楽器固有の事情を知っておくことも、演奏者として必要だと思われる。その意味で本書は有用な情報が多く含まれており参考になる。

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