モーツァルト:交響曲第25番におけるファゴット・パート

モーツァルト:交響曲第25番のスコア/ベーレンライター版(1960年)の校訂者ヘルマン・ベックは、この曲のファゴットについて下記のように序文に書いている。
モーツァルトの自筆譜には、ファゴットは緩徐楽章とメヌエットのトリオにしか使用されていないのだが、この2箇所においては明らかに独立のパートとして扱われている。これにたいしてほかの楽章には譜の上にファゴットの指定は見られない。しかしながら、ファゴットをただ中間楽章にだけ使用して、両端の楽章では休ませるというのがモーツァルトの真意であったかどうかは疑わしい。とくに、モーツァルトが緩徐楽章ではファゴットを独立的に扱い、速い楽章ではファゴットを弦バスにダブらせて使うという事例が豊富に見られるので、とすれば、モーツァルトはこのファゴットと弦バスの二重使用をこの曲においても認めており、バスと離れた楽章だけ、ファゴットのパートを写譜屋に指示したのではないか、と考えられるのである。

また、ザスラウ著「モーツァルトのシンフォニー」(東京書籍/2003)に書かれている、「モーツァルトの(初期)交響曲において、独立したファゴット・パートのない曲の場合、少なくとも一本のファゴットをバッソに加えることが好ましい」という立場は以前に引用した通り。
https://zauberfloete.at.webry.info/201602/article_6.html

7月の演奏会でこの曲を演奏する。
ベーレンライター版のファゴットのパート譜は、第二・三楽章に加えて第一・四楽章についてもチェロ・バスと同様(一部除外されている箇所もある)のものが付いているため、参加させていただくが、さらに今回、指揮者の方の了解が得られたため、メヌエット本体についてもチェロ・バスにファゴットを重ねて吹かせていただくことになった。

蛇足ながら、メヌエットのチェロ・バスの譜面を確認したところ、30小節の一拍目の音に間違い(本来AのところBと印刷されている)があることが判明した。なお、ブライトコプフ版にはこのような間違いはなく、ベーレンライター版のみのようである。
それにしてもパート譜というものは、ほとんどと言って良いほど間違いがある(意図的に間違いの箇所を入れるというウワサもあるが)ものなので、パート譜とスコアをチェックすることは何があっても必要である。

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