「楽譜の向う側~独創的な演奏表現をめざして~」

「応用楽典 楽譜の向う側~独創的な演奏表現をめざして~」という本を読んだ。著者は西尾洋、音楽之友社から2014年8月に発刊されている。先日、強弱記号について調べていた時に偶然本書の存在を知ることになった。
https://zauberfloete.at.webry.info/201904/article_19.html
図書館には所蔵されていなかったので中を見ることなく購入(ネット購入だと立ち読みができないので困る)、少々高額(税抜2700円)ではあったがその価値は十分にある内容だった。
まず、序文から一部引用。
本書は、楽譜に書かれていることをもとに、楽譜に書かれなかったことを紐解き、演奏表現に繋げる方法を考える、読譜の入門書です。
そしてあとがき。
(前略)しかしその後、ドイツに留学して唖然としたのは、筆者も含めて日本からやってきた留学生は、おしなべて現地の学生よりソルフェージュ能力に秀でており、初見も速ければ暗譜も速いのですが、それだけではよい演奏に到達するとは限らないという事実でした。むしろ、譜読みも遅く暗譜も不器用なドイツ人が、心に響く強い表現を手にしていくのです。
ドイツ人は、つねに「なぜそうなのか」と問いかける人たちでした。転調した、なぜか。変奏された、なぜか。和音が変わった、なぜか、そして、それをひとつひとつ、言葉で考えていきます。そこには、何となく、先生に習ったから、みんながそうしているから、という答えは存在しません。(中略)
本書の内容は、楽典の各項目を切り口とした理論的知識の説明と、演奏方法の提案です。音楽理論の勉強は、直接演奏に繋がるべきものです。和声法も対位法も楽曲分析も、どのように演奏すべきなのか、というところまで考えなければ、ほとんど意味はありません。(後略)


ということで、本書は単なる楽典の説明にとどまらず、演奏法の提案まで書かれている点が大きな特徴となっている。私が以前から疑問に思っていたいくつかの点についても言及されており、また、演奏法についてもひじょうに勉強になった。
演奏法について書かれている本はあまり多くない。意味のある内容に出会った時は、当該箇所を抜書きするようにしてきたが、本書においては1~2回で引用できる量を遥かに超えている(私が読みながら貼ったポストイットは10箇所以上に及ぶ)。
今後再読しながら、少しずつ折に触れて引用していきたい。

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