嬰へ短調のアリア

来月の演奏会(バッハ:カンタータ)の曲は特にソロもないのだが(昨年秋は大変だった)、
https://zauberfloete.at.webry.info/201811/article_3.html
通奏低音の曲で一曲だけ難しい(他の曲も易しくはないのだが)曲がある。
カンタータ第94番「この世に何を求めんや」"Was frag ich nach der Welt", BWV94
第7曲ソプラノのアリアで、オーボエ・ダモーレの素晴らしいオブリガートが付いている。
普通だと通奏低音はチェロ(1or2)、バス1、オルガン、そして時にファゴットという編成なのだが、この曲はコントラバスは休みでチェロ1+オルガン+ファゴットという編成で演奏することになっている。
コントラバスがないとほぼハダカ状態となり全く気を抜けないことに加え、この曲、53小節、時間にして約4分という短い曲なのだが、ファゴットが最も不得意*1とする 嬰へ短調*2 という調性で書かれている。途中嬰ハ短調に転調したりもするため、最初のシャープ3つに加え、「レ」、「ミ」、「シ」などにも頻繁にシャープが付き、本来シャープの「ソ」にもナチュラルが頻出するのでまったく油断がならない。それにしても「ミ」や「シ」を半音上げるというのは、ピアノの鍵盤上では「ファ」や「ド」になる訳で、普段それらの音にシャープが付くことに慣れていないため、なかなか自然に運ぶのは難しい。
そして何より、オブリガート楽器を伴うアリアの通奏低音なので、ソプラノやオーボエ・ダモーレの歌い方に合わせて伴奏するというのが本来の役割。それぞれのメロディ・ラインを頭に入れ(一部書き込んで)、歌とオブリガートに完全に寄り添った演奏にしたいと思っている。

*1 ファゴットの真ん中(ヘ音記号第4線)のファ♯/Fis という音は楽器の構造上、必ず高くなり、弱い音を最も出し難い音。またオクターヴ下のFisも高め傾向、ピアノが出し難く、その下のド♯/Cisの音も同傾向。さらにそのオクターヴ上のCisも音程決まり難い、ということで、嬰へ短調という調性はファゴットにとってイヤな音ばかりで構成されている。
*2 嬰へ短調という調性で真っ先に思い出すのは、モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調K488の第2楽章アダージョ、とはいえ、この曲とバッハでは使用される音域がまるで異なっている。その他の曲で嬰ヘ短調という調性は、ハイドン:交響曲第45番くらいしか思いつかない。

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  • 春のコンサート(その4)終了

    Excerpt: この春4回目の演奏会を終えた(5/12)。バッハのカンタータ全曲演奏を目指している団体の演奏会。曲目は下記の通り。 ○カンタータ第135番「ああ主よ、哀れな罪人なるわれを」"Ach Herr, mi.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2019-05-13 21:53