モーツァルト:交響曲第25番ト短調(K183/K173dB) 聴き比べ

1773年(モーツァルト17歳!)10月5日の日付を持つこの曲は、第40番と同様の調性であることから「小ト短調」交響曲とも呼ばれるが、第29番イ長調K201(K186a)とともに若きモーツァルトの大傑作であることは疑いない。
カラヤンはこの曲を演奏会で採り上げることも、また録音することもなかったが、もし実現したらどのような演奏になっていただろうか?といつも思う。
LP時代からの私の愛聴盤はケルテス=ウィーン・フィル盤だった。今回、久しぶりにケルテス盤および1950~1970年代の録音を聴き直してみた。
●ワルター=ウィーン・フィル(SONY/1956)
1956年7月26日ザルツブルク祝祭劇場でのライブ。貧弱な録音だが歴史的な意味合いは感じられる。ドラマティクな演奏とはこのようなことを言うのだろう。
第一楽章は異常に速く、フレーズを切り詰める箇所も少なくないが、突然テンポを緩めたり緩急の差は激しい。アンダンテは中庸のテンポで、ヴァイオリンの歌い方が素晴らしい。メヌエットは再び速めのテンポで駆け抜ける。そして終楽章、疾走するアレグロ、と思ったら35小節で突然ブレーキがかかり、のけぞりそうになる。その後は嵐のような展開部、そして、171小節で再びブレーキがかかり、コーダへ。しかし190小節のホルンの強奏に驚いて、あらためてスコアを見直すこととなった。

●ベーム=ベルリン・フィル(DG/1969)
オケは比較的小編成、乾いた音/録音で魅力に欠けるものの、オーボエは美しい(おそらくシュタインスだろう)。第一楽章は良く言えばしっかりした足取りだが、途中止まりそうになる。終楽章もゆっくり目のテンポ。それにしても、トリオの後半、G管ホルンをノンレガート(むしろスタッカートに近い)で吹かせるのは疑問。なお、ウィーン・フィルとの1978年の映像ではそのようなことはない。
https://www.youtube.com/watch?v=EcM6Np7bGJ4

●ブリテン=イギリス室内O(DECCA/1971)
この演奏もSTS盤(カップリングは29番)で繰り返し聴いたものの一つ。ケルテス盤とほぼ同時期の録音ながら、当時は同一レーベル/同一曲の録音も頻繁に行われていたということだろう。当盤のプロデューサはレイ・ミンシャル&ディヴィッド・ハーヴェイ、エンジニアはケネス・ウィルキンソン。
小編成ながらシンフォニックな響き。アンダンテも遅め、終楽章はテヌートに満たされた(?)歌い方。そして各楽章の構成/プロポーションの見事さは特筆に値する。が、管楽器の響きがイギリス的なのは仕方ない。なお、第一楽章の装飾音符(59、177小節から)を長く(八分音符として)演奏していたのは今回聴いた中では当演奏だけだった。

●ケルテス=ウィーン・フィル(DECCA/1972)
プロデューサ:クリストフ・レイバーン、エンジニア:ジェイムズ・ロック。
この頃のウィーン・フィルは、オーボエ、ホルンなどまだ往年の響きがしている。丁寧かつメリハリのきいた、かつ格調の高い演奏で好感が持てる。第二、三楽章は速めのテンポだが急ぎ過ぎることはない。終楽章はしっかりした足取りながら、第二主題との対比の美しさが見事。特に再現部で第二主題が短調で始まる151小節あたりからは感動的なものとなる。そしてコーダでの自然な減速と最後の2小節の終わらせ方は説得力を持って響く。

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