モーツァルト:弦楽五重奏曲ハ長調K515

イブラギモヴァが1stVnを弾いたモーツァルトのハ長調の弦楽五重奏の映像を観た。
https://www.youtube.com/watch?v=iU-LiPWusrI
Delft Chamber Music Festival 2013年7月の演奏会の模様と思われる。演奏者は、
Liza Ferschtman, Alina Ibragimova, Amihai Grosz, Jakob Koranyi, Gijs Kramers
と記されている。
イブラギモヴァが2ndVnを弾いているモーツァルト:弦楽五重奏全曲のライブDVDの存在は知っていた
http://www.hmv.co.jp/news/article/1603250019/
のだが、この映像は知らなかった。
期待通り、イブラギモヴァはしなやかで伸びやかな素晴らしく見事な演奏をしている。思い切り自由でいながら格調高く気品を失わない。
そして、他のメンバーも優れた演奏を聴かせるが、特筆すべきは1stヴィオラを弾いているグロス(BPh第1ソロ・ヴィオラ奏者)。アンダンテ楽章後半での超絶技巧(?)の完璧さ、アンサンブルへの見事なとけ込み方などさすがと思わせるものがあった。

さて、1787年4月19日/ウィーンの日付を持つこの作品は、第1番K174(1773年)から14年後に作曲されており、その意味では第2番なのだが、相変わらず第3番と呼ばれることが少なくない。モーツァルトが管楽セレナーデK388を弦楽五重奏に編曲(K406/516b)したのは、この曲と次のト短調を作曲した後のこととされている。

あと、恥ずかしながら今回初めて気付いたのだが、この曲の構成は本来、
○第1楽章 アレグロ/ハ長調 4分の4拍子
○第2楽章 アンダンテ/ヘ長調 4分の3拍子
○第3楽章 メヌエット アレグレット/ハ長調 4分の3拍子
○第4楽章 アレグロ/ハ長調 4分の2拍子
という四楽章構成なのだが、今回の演奏ではメヌエットを第2楽章に置き、アンダンテの楽章を3番目に置いていた。私が持っているグリュミオー(PHILIPS/1973)、スメタナSQ(DENON/1976)、アルバン・ベルク(EMI/1986)などのCDでは、いずれも本来の楽章順で演奏していた。

ちょっと調べてみたところ、初版(1789年)では第2楽章はメヌエット、第3楽章がアンダンテの順だったが、第三者により中間楽章が入れ替えられたらしいため、NMAではアンダンテを先に置き、メヌエットを第3楽章に置いたということらしい。
なお、ト短調の五重奏曲でもメヌエットが先に来ており、約一ヶ月後に書かれた「音楽の冗談」K522においても、第2楽章にメヌエットが置かれている。
ということで、あらためてこの曲の構成について聴き手の立場から考えてみると、かなり内容の濃いアンダンテの後にはそれを解放するフィナーレが続く方が自然のようにも思えるのだが。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

cherubino
2018年08月23日 21:32
Zauberfloete 様、こんにちは。貴兄の記事を拝読したのち、手元にあったアルバン・ベルク盤(TOCE-7067)を見てみたところ、なんと第2楽章が「メヌエットとトリオ」という表記になっていたのでびっくり。でも、時間表記は「8' 24"」とあるので、もしやと思い聞いてみたところ、ちゃんと2トラック目が「アンダンテ」でした(笑)。既存の解説文等でも、結構いろんな書き方がされているようで、混乱があるようです。こういう場合こそ現物を見るしかないのですが、ありがたいことにこの曲の自筆譜は、アメリカ議会図書館のサイト(https://www.loc.gov/resource/ihas.200154476.0/?sp=19)で見ることができます。確かに、第2楽章はメヌエット(20ページ目)、第3楽章はアンダンテ(28ページ目)です。しかし、各楽譜のフォリオに打たれた番号を見ると、第1楽章アレグロの1~10まで(下線付き)はモーツァルトの筆跡らしいのですが、続くアンダンテに書かれた11~14(下線なし)は他の人が振ったものとのこと。新モーツァルト全集の編者E.F.シュミットは、この番号をモーツァルトの意を受けたマクシミリアン・シュタードラーが振ったと考え、アンダンテを前に持ってきたようです。が、シュミットの仕事を継いだE.ヘスは、初版がモーツァルトの意思に反したとは考えられないことや、Zauberfloete さんのご指摘通り!「ト短調の五重奏曲でもメヌエットが先に来て」いることを重視し、新全集の判断に保留をつけています。今後はどうなっていくのか、なかなか興味深いところです。
2018年08月24日 21:32
cherubinoさま
いつもながら詳細なコメントありがとうございます。自筆譜を見るのは楽しいです。楽章の順番というのは全体のプロポーションという意味ではひじょうに重要だと思うのですが、難しいところです。
cherubino
2018年09月14日 13:01
たびたびすみません。上記コメントをよくよく読みかえしてみましたら、肝心なところで間違っていました。「第2楽章はメヌエット(20ページ目)、第3楽章はアンダンテ(28ページ目)」ではなく、「第2楽章はアンダンテ(20ページ目)、第3楽章はメヌエット(28ページ目)」が正しいです。申し訳ありません。
2018年09月16日 22:02
cherubinoさま
わざわざありがとうございます。文脈の中で読んでいたので私も気付きませんでした。「毎日クラシック」の記事
http://gospels.cocolog-nifty.com/classic/2018/09/1-e788.html
も興味深く読ませていただきました。その2も楽しみにしております。

この記事へのトラックバック