ハイドン:「朝」「昼」「晩」

「クラシック音楽館」は井上道義指揮 オーケストラ・アンサンブル金沢演奏会(2018年3月19日/サントリーホール)。プーランクは別として、ハイドンの「朝」「昼」「晩」は、聴き応えのある好演だったと思う。井上の指揮は視覚的にはあまり好きになれないが、アンコールに武満徹の「ワルツ」を持ってきたところは心憎いものがあった。

さて、この三部作、私自身、以前これらの曲を演奏したことがあるが
http://zauberfloete.at.webry.info/201507/article_10.html
なかなかプロのオケでは採り上げられない曲目ではある。

ハイドン自身により名づけられた「朝」「昼」「晩」の三曲は、ハイドンがハンガリーの大貴族エステルハージ侯爵家の副楽長に就任した1761年に作曲された。そしてこの一日の時間の推移を題材にするというアイデアは、当時の君主であったパウル・アントン・エステルハージ侯によって与えられたと言われている。
パウル・アントン侯はウィーンで音楽教育を受け、ヴァイオリン、フルート、リュートなどを演奏し、イタリアのバロック音楽(特にヴィヴァルディ)を愛する人だった。そして当時のエステルハージ家のオーケストラは、団員数こそ十数名の小規模なものだったが、ヴァイオリンのトマシーニはじめ優れた技量を持った名手たちが揃っており、質の高さを誇っていたという。
さてこの三部作、ヴァイオリン、チェロ、コントラバス(当時はヴィオローネという楽器)など、独奏楽器を多く用いる楽器編成となっている。この編成はバロック時代のコンチェルト・グロッソを思い出させ、フルートなどの管楽器を独奏楽器に起用する書法はディヴェルティメントにも通じている。
ということで、この三部作は、副楽長に就任したばかりのハイドンが、その君主を喜ばせるためにコンチェルト・グロッソの編成や描写的手法を用いつつ、優秀な楽師の紹介とその高度な技量を披露できる場の提供、それに対する敬意の表明などを意図して作曲したのではないかと考えられている。
なお、現在この三部作は「交響曲」として扱われているが(1805年に作成された「ハイドン目録」に交響曲と記載されたためと言われている)、第7番の自筆譜には「昼」という標題だけが記入されているに過ぎない。これらを交響曲とみなすかどうかは別にしても、交響曲の範疇では包括しえない多様な様式や特徴を持った、バロックと初期古典派をつなぐユニークで優れた作品群であることは間違いない。

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