ジェイン・グラヴァー:「モーツァルトと女性たち~家族、友人、音楽~」

これまで、モーツァルトの生涯、作品については数えきれないほどの著作が発表されているが、生涯で言えばモーツァルトが生まれてから死ぬまで、作品についてはその出来上がった形の概観について言及されるものがほとんどだった。
本書の特徴は、モーツァルトの特に声楽作品における、その歌い手たちとの具体的なやりとりを含めた作曲プロセスが詳細に記述されていること、さらに、モーツァルトの死後、コンスタンツェ、息子たち、ニッセン、ナンネルなどがどのようなその後の人生を辿ったかについても詳しく語られていることが挙げられる。
もちろん、音楽を聴く上で、作曲家の生活、生涯、その作曲プロセス、さらにはその家族・関係者たちのその後について知らなくても何の不自由もない。しかし、そのようなことを知ることによって、モーツァルトの人間らしさや人となりがより鮮明になり、ひいてはその作品をさらに深く理解できることにつながるようにも思える。
とにかく、ひじょうに面白かった。モーツァルトを愛する人にとっては必読書と思う。

著者はジェイン・グラヴァー。この人は指揮者で音楽学者、2009年からは王立音楽院でオペラの芸術監督を務めている。ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズを指揮したモーツァルト、ロイヤル・フィルとのハイドンのシンフォニーなどの録音は私も持っている。原題は、MOZART'S WOMEN:His Family,His Friends,His Music(2005) ということで、「モーツァルトの女たち」になり、ややニュアンスは異なるが、モーツァルトとかかわりのあった女性に焦点を当て、モーツァルト(と関係者)の生涯、作品などについて深く掘り下げられている。中矢一義監修/立石光子訳で2015年11月に白水社から出版された。

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