最近読んだ本 2015/11

●「ラファエロ アテネの学堂」マルコ・カルミナーティ著・渡辺晋輔訳(西村書店/2015.10)
丸ごと一冊、ラファエロの「アテネの学堂」の本。総論に加え、部分解説が16節に分かれており、カラー写真が多く掲載されている。全体の写真では見逃してしまうような細部も、部分を大きく拡大した写真により詳細に見ることができ、あらためてラファエロの見事な表現に魅了された。

●「これを聴け」アレックス・ロス著・柿沼敏江訳(みすず書房/2015.10)
著者はアメリカの音楽評論家。元々クラシックを勉強したがその後、ロック、ポピュラー音楽にも通じ、本書ではクラシックにとどまらず、幅広いジャンルの音楽が採り上げられている。個人的に特に優れた内容と思ったのは「悪魔の機械~録音はどう音楽を変えたか~」、「様式の嵐~モーツァルトの中庸~」、「アンチ・マエストロ~ロサンジェルス・フィルハーモニックのエサ=ペッカ・サロネン~」、「ミュージック・マウンテン~マールボロ音楽研修の内側~」の各章。いずれも最近読んだ音楽評論(と言うべきかどうか)の中では飛びぬけて面白かった。

●「フェルメール~生涯の謎と全作品~」大友義博監修(宝島社/2015.10)
フェルメールの全作品について豊富な図版と解説が付いている。本書の特徴として、全作品の大きさ比較ができる写真が掲載されている。実物の1/20くらいのスケールで縮小された全作品が載っている。数年前の「光の王国展」では複製ながら実物大の作品を観ることができた。
http://zauberfloete.at.webry.info/201205/article_12.html
今回、あらためて「ヴァージナルの前に座る若い女」はこんなに小さな作品だったかと思った。

●「JR山手線の謎学」ロム・インターナショナル(河出書房新社・夢文庫/2015.10)
山手線にまつわる路線、車輛、駅、沿線などの雑学(?)が網羅されている。マニア以外にとってはどうでもいいような話が多いが個人的には面白かった。
余談だが、「やまてせん」の呼称を「やまのてせん」に変更したのは1971年とのこと。そのせいか私は未だに「やまてせん」と言っている。

●「古楽再入門~思想と実践を知る徹底ガイド~」寺西肇著 (春秋社/2015.9)
古楽の歴史を振り返り、「オリジナル楽器」の再定義、思想/演奏法の考察、作曲家毎の演奏の最前線などに加え、各章毎に書籍、録音などの関係文献リストも付いている。
http://zauberfloete.at.webry.info/201511/article_10.html

●「楽器学入門」守重信郎著(時事通信社/2015.9)
「写真でわかる!楽器の歴史」というサブタイトルが付いており、「楽器学入門」とはいえある意味楽器図鑑とも言える。鍵盤、弦、木管、金管、打楽器に加え、日本の楽器、民族楽器の歴史についても説明されている。豊富な写真、それも珍しいものが多くひじょうに興味深い。ちなみにファゴットは1880年頃のヘッケル社製の楽器の写真が載っている。

●「自分という奇蹟」五木寛之著(PHP文庫/2015.9)
「生きていることにまず価値がある」という言葉、悲しみ、泣くことも大事なのでは、など五木氏の生き方の書。
(以下余談)先日、「すずらん本屋堂」に五木氏が出演されているのを見たが、未完の「青春の門」の続編にとりかかりたいと言っていた。

●「気付くのが遅すぎて、」酒井順子著(講談社/2015.8)
「週刊現代」2014年6月7日号~2015年6月27日号に連載されたエッセイ集。タイトルに関して著者は下記のように語っている。
そんな区切り(連載500回)を迎えて、ふと自らの来し方を振り返ってみますと、重箱の隅はよく見えるというのに、人生の大局観的なものが、私から抜け落ちている模様。ハッと気付いた時には~(後略)
いずれにしても著者の新鮮なものの見方/鋭い視点と分析には感心させられる。

●「なぜ日本人は、一瞬でおつりの計算ができるのか」川口マーン惠美著(PHP研究所/2015.6)
ドイツの学校、教育制度、大学、就職、仕事、文化などを紹介しつつ、日本との対比がなされ、その長所・短所、今後の展望などが示される。現地に長く住む著者の、実体験に基づいた鋭い視点、分析はいつもながらひじょうに面白い。

●「中島ハルコの恋愛相談室」林真理子著(文藝春秋/2015.5)
中島ハルコは50代のIT会社社長、厚かましく口が悪いが、彼女の口を借りて、エッセイとしては書き難い正論(?)が次々と繰り出される。

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    Excerpt: ●「おとなのための動物行動学入門」今福道夫著(昭和堂/2018.8) 著者は日高敏隆門下、とはいえ竹内久美子女史とは全く異なる語り口。内容的には興味深い話が多かった。2050年前後以降の地球の将来の.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2018-10-31 22:18