バロックから初期古典派におけるアーティキュレーションについて

橋本英二著「バロックから初期古典派までの音楽の奏法」(音楽之友社/2005)を読み直していたら、アーティキュレーションについて下記のような記述があった(以下、引用であるが斜体ではなく太字とする)。

アーティキュレーションとは1音から次の音へ移る方法である。すなわち2音を切るかつなぐか、切るとするとどのくらいにするかということで、これはアクセントをつけるかどうかに置き換えて考えられる。2音をレガートにつなげばアクセントはつかないが、はっきり切ればアクセントの強調になる。
(中略)
どのみちアーティキュレーションの印はごく特殊な場合しかついていないので、これが欠けている旋律ではどうしたらよいか考えてみよう。

○音階進行の場合
2音が音階進行(とりわけ半音階でのゆったりしたテンポ)をしていればレガートにする。とくに2音間の音程が半音下降だと「ため息のモティーフ」になるので、レガートはもちろん、第2音はディミヌエンドで短めにすると表情が増す。
○跳躍進行の場合
跳躍の場合には切り離す。つまり跳ぶ前の音を短くしてスペースをつくる。上昇の跳躍は下降にくらべてエネルギーを必要とするので、アクセントがかかり、切り離しもそれだけ明瞭にする。


なお、音階進行の補足として、半音階進行の4分音符のみならず、16分音符のスケールもレガートにする譜例が載っている。また、跳躍進行の場合は、跳ぶ音程が大きければ切り離しも大きくする、などのコメントもみられる。

速いテンポの曲では切り方もそれだけ鮮明で鋭いが、ゆったりしたテンポなら同じ跳躍でも表情をこめて(鍵盤楽器では跳躍する前の音符の指をゆっくり上げ、弦楽器は弓の方向替えが滑らかになるよう、管ではこころもちディミヌエンドしながら切るようにして)、ブツ切れにならないよう。
クヴァンツは、アレグロの8分音符の跳躍は短い音符に使うタンギングの ti にするが、音階進行では8分音符でも4分音符でも di にすることをすすめている。C.P.E.バッハも、スラーは通常、音階進行のパッセージでゆっくり、または中庸のテンポに適し、切り離しは、音符の長さやテンポ、フォルテかピアノかなどにもよるが、概して跳躍の音型で速いテンポが向いている、との説明である。


ということで、楽譜に何も書いていないから何もしないのではなく、バロックはもちろん初期古典派においても上記のような暗黙の原則があるということを知っておく必要はあるだろう。

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