ハイドン:交響曲第6番「朝」のトリオ

ハイドン:交響曲第6番ニ長調「朝」の第三楽章メヌエットのトリオにはヴィオローネのソロがある。ランドン監修のフィルハーモニア版スコア/ドブリンガー版などによれば、トリオの後半(43小節目)から14小節間はチェロ・ソロと書かれており、57小節からは再びヴィオローネ・ソロとなっている。なお、脚注には、「Wien(Musikfreunde);他のソースはヴィオローネが続ける」と書かれている。
ということで、録音ではどのように演奏されているのか確認してみた。
○ゴバーマン=ウィーン国立歌劇場O(SONY/1960~62)
 途中でチェロがソロを弾く(楽譜通り)。
*ヴァイオリンとチェロのソリストは次のようにクレジットされている。
Vn:Ludwig Dobrony
Vc:Gerhardt Zatschek
Dobronyという人は1957年のウィーン交響楽団演奏会のソリストに名前が出ている。
http://www.wienersymphoniker.at/konzert/pid/000000e9h58h00011284
○ヘルビッヒ=シュターツカペレ・ベルリン(BERLIN Classics/1973)
 トリオはすべてコントラバスがソロを弾いている。
*なお、話は本論から逸れるが、ヘルビッヒのハイドンといえばドレスデン・フィルと思っていたが、これは何とオケがシュターツカペレ・ベルリン。このような演奏があったとは初めて知った(CDは以前から持っていたのだが)。
○アーノンクール=コンチェントゥス・ムジクス・ウィーン(WARNER CLASSICS/1989)
 途中でチェロがソロを弾く(楽譜通り)。すべてコントラバス/ヴィオローネがソロを弾いているのではと思ったが、「楽譜通り」の演奏で期待外れ。
○ホグウッド=アカデミー・エンシェント・ミュージック(L'OISEAU-LYRE/1990)
 トリオはすべてコントラバス/ヴィオローネがソロを弾いている。
○ヘスス・ロペス・コボス=ローザンヌ室内O(DENON/1991)
 途中でチェロがソロを弾く(楽譜通り)。
○フィッシャー=オーストロ・ハンガリアン・ハイドンO(BRILLIANT/1987~2000)
 トリオはすべてコントラバスがソロを弾いている。
○ディヴィス=シュトゥットガルト室内O(SONY/1995~2006)
 途中でチェロがソロを弾く(楽譜通り)。
なお、先日観たラトル=ベルリン・フィルの演奏でもコントラバスがすべてソロを弾いていた。なお、奏者はエスコ・ライネでひじょうに見事な演奏だった。
http://zauberfloete.at.webry.info/201504/article_6.html
ということで、意外にもすべてソロをコントラバスで弾く演奏が少なくなかった。
連作である「昼」、「晩」のトリオがすべてヴィオローネのソロで一貫していることもあり、「朝」のトリオも途中でチェロに替わることなく、すべてヴィオローネがソロを弾く方が整合性が取れることは確かだと思う。
なお、ゴバーマン=ウィーン国立歌劇場Oの「昼」(交響曲第7番)の第三楽章メヌエットのトリオでは、何とチェロがすべてのソロを弾いている。「小型の」ヴィオローネを想定してのことなのか・・・。
http://zauberfloete.at.webry.info/201504/article_9.html

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この記事へのコメント

cherubino
2015年04月22日 12:51
Zauberfloete様、こんにちは。
「朝」のヴィオローネ・ソロ+チェロ・ソロについての情報、興味深く拝見いたしました。この時代のハイドンの交響曲は、一部例外を除いて自筆譜が残っていないため、資料の状況から見てもこの種の判断はかなり難しいですね。この箇所、最新の「新ハイドン全集」(ヘンレ版)では、ランドン版と同じく「Wien(Musikfreunde)」=ウィーン楽友協会に所蔵されている楽譜を主要資料としながらも、トリオの後半のチェロ・ソロは採用していません。校訂報告にはこの異同も言及されていますので、ランドンの脚注自体は正しいようですが。
「連作である「昼」、「晩」のトリオがすべてヴィオローネのソロで一貫していることもあり、(中略)すべてヴィオローネがソロを弾く方が整合性が取れることは確かだと思う。」というZauberfloeteさんの考えは説得力があります。ヘンレ版を元にしたスタディー・スコアとパート譜が、ベーレンライターから出ているので、今後はコントラバス・ソロのみの演奏が増えそうです。
2015年04月23日 23:11
cherubinoさま
コメントありがとうございます。実は7月の演奏会で「朝」「昼」「晩」を演奏することになっており、現在練習中です。パート譜はドブリンガーなのですが、指揮者の方がヘンレ版のスコアなので、結果的にヘンレ版に準拠した楽譜で演奏しています。が、楽譜にとらわれず、より自由な解釈をされる方なので、ダイナミクスの付加、アーティキュレーションの変更など日常茶飯事です。とはいえ、生き生きと躍動し、楽しい音楽を作る方なので私自身も楽しくやっています。

この記事へのトラックバック

  • Soloとは一人で演奏すること?(その3)

    Excerpt:  前回、ハイドンの交響曲第7番「昼」について、低音部の楽器のソロ指定について調べてみた。そのうち第3楽章・トリオのヴィオ Weblog: 毎日クラシック racked: 2015-05-03 14:04