ハイドン:交響曲第49番ヘ短調「受難」~その2 CD聴き比べ~

アーノンクールはこの曲を録音していないが、ファイの演奏(未聴)はさぞ刺激的なのだろうと思う。とりあえず家にあるCDを聴いてみた。他にはドラティ、コープマン、ピノック、鈴木秀美、オルフェウス室内O他の録音があるようだが聴いていない。

●ヤーノシュ・ローラ=リスト・フェレンツ室内O(HUNGAROTON/1983) 5:41/4:54/4:34/3:11
室内オケだが深く美しいシンフォニックな響き。全般的にクールで情熱的な演奏とは言えない。メヌエットのHrオクターヴのディミヌエンドが極めて効果的。プレストも優雅さを伴いながら疾走する。

○ハルムート・ヘンヒェン=C.P.E.バッハ室内O(BERLIN Classics/1987・88) 6:37/3:27/4:19/2:18
ピリオド奏法も考慮された現代楽器によるオケ。アダージョは非常に遅くたっぷりと歌われる。美しいが悲しみは深くない。軽いアレグロ、プレストも静かに訴える。

○クリストファー・ホグウッド=ジ・アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック(L'OISEAU-LYRE/1992) 11:11/6:24/4:59/3:18
アダージョはかなりゆっくりしたテンポ、柔らかいトーンで悲壮感はあまりない。アレグロは快速なテンポで配慮もよく行き届き、アンサンブルも良い。速いテンポのメヌエット、トリオ繰り返し後のオーボエのG音をテヌートしている。プレストはやや安全運転気味で生ぬるい。

●アダム・フィッシャー=オーストロ・ハンガリアン・ハイドンO(Nimbus/1995) 8:20/6:19/4:20/2:57
艶やかで品格のある弦楽器群の響き。アレグロは激しくドラマティク。自然な緩急の付け方、各パートのバランス/浮き立たせ方も効果的。毅然としたメヌエット、時おり弦楽器がソロになる。トリオのホルンはさすがに見事。プレストも疾走し、ダイナミクスの付け方も効果的、しかしファゴットの存在感はなく、全体にやや消化不良という感じも・・・。

○ヘルムート・ミュラー・ブルール=ケルン室内O(NAXOS/1997) 7:01/4:44/4:54/3:16
楷書的でひじょうにきっちりした演奏。全般的に悲嘆のイメージは薄いが、プレストも高揚感がありながら品格も漂う立派な演奏。

○フランス・ブリュッヘン=ジ・オーケストラ・オブ・ジ・エイジ・オブ・インライトゥンメント(DECCA/1998) 9:12/4:40/5:33/2:48
予想外に穏やかな演奏で激しさはない。全般的に丁寧、上品で整った演奏になっている。極端に遅いメヌエット。トリオではオーボエの八分音符を装飾音符的に演奏している。

○デニス・ラッセル・ディヴィス=シュトゥットガルト室内O(SONY/2000前後) トータル25:35(メヌエット実測5:47)
重厚と言えなくもないアダージョ、しかし情感に乏しい。アレグロは慎重過ぎるテンポで熱さに欠け音楽が流れない。かなり遅くひきずるようなメヌエット。プレストは疾走するがここでも体温は低い。

●ゴットフリート・フォン・デア・ゴルツ=フライブルク・バロック・オーケストラ(harmonia mundi/2008) 10:59/6:30/4:56/3:07
この曲のイメージにもっともぴったりくる演奏。アダージョはきわめて遅く深く、アレグロ、プレストはひじょうに速くそして激しく、一瞬たりとも気を抜くことができない緊張感に満たされている。自然な息遣いを伴う緩急の付け方、ドラマティクなダイナミクス、絶妙なバランスなど見事な演出。

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