ウィーン・フィルとその楽器の系譜

「音楽の友」6月号はウィーン・フィル特集。例によって(?)使用楽器の特集が載っているが、今回の執筆者は佐伯茂樹氏。普通とは一味違う解説を読むことができた。
ウィンナ・オーボエとウィンナ・ホルンが他のオケとは違うということは誰でも知っているが、それらはもちろん、ウィーン・アカデミー式のクラリネットについての話、さらにホルン以外の金管楽器に関する話など、なかなか興味深い内容ばかり。特に自分で楽器をやる方にとっては必読の内容だと思う。

なお、話は逸れるが、私はエーラー式はヴルリッツァー、ウィーン・アカデミー式はハンマーシュミットなどメーカーが作り分けていると思っていたのだが、
http://zauberfloete.at.webry.info/201008/article_14.html
アンドレアス・オッテンザマーが使っているクロンターラーというメーカーでは、両者とも作っているようである。
http://www.kronthaler-klarinetten.de/produkte.html

そして、クラリネットのリードの項で、
「最近では多くのメンバーが合成樹脂製のリードを使うようになった/ベルリン・フィルも同じ」
と書かれている。
これは、レジェールというメーカーで、
http://www.legere.com/index.php?page=featured-artists#clarinet
確かに、ユーザーにはラリー・コムズ以下、リカルド・モラレス、アンドレアス&ダニエル・オッテンザマー、ヴァルター・ザイファースなどの名前が並んでいる。
さらに、NICK(Nick Kückmeier)
http://www.playnick.at/index.php?lang=de
というメーカーもあるらしく、原材料を上記レジェールから購入し作っているらしい。
こちらにはフックスやマイヤーの名前も見える。
なお、レジェールからはファゴット用リードも発売されており、「本番でも使える」というコメントは読んだことはあるが、クラリネットほどはまだ普及していないようである(私も試奏してみたいとは思っている)。

話がまた逸れてしまったが、今回の記事でフルートについても、
「20世紀前半までは木製のドイツタイプの楽器を使用していたが、戦後は、金属製の楽器を使うという方針で決定」
したとのこと。この話は初めて聞いた話だが、確かに木製フルートを使っている奏者は見たことがなかった。楽器はフルーリーはヤマハ、アウアーは三響らしいが、シュッツはムラマツなのだろうか。

ということで、結局一言も触れられなかったのがファゴット。以前からヘッケル式を使っているということで、特に他のオケとの違いはないということではあろうが、映像などで観る限り、特に首席の方々は今でもかなり年代もの(古い製造の)の楽器を使っていらっしゃるようではある。また、古典的な名著アンソニー・ベインズ著「木管楽器とその歴史」(1957/1965訳 音楽之友社)には、「ヘッケルの楽器からもっともすぐれた音色を引き出したといわれているウィーンの故シュトローベルは、先端幅が17mmにもわたる幅広いリードを作ったと伝えられているが、この型はエールベルガー以下の優秀なウィーン・フィルハーモニーの奏者たちが現在もなお用いている」などという記述もあったが、実際にWPhの方々がどのようなリードを使っていらっしゃるのかは私は知らない。以前エールベルガーのリードの写真を見たことはあったが、それほど大きくは感じなかった。
いずれにしても、オーボエもそうだが、以前のようなウィーンの特徴がある音色や味の濃さがだんだん薄れ、世界標準(?)に近づきつつあるということは確かだと思う。ウィーンのファゴットに限らず、バソンにおいてもそうなのだから・・・。

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