モーツァルト:コンサート・アリア「ああ、恵み深い星々よ、もし天にあって」K538

このアリアは1788年に書かれた総譜と、その10年前のマンハイム滞在中に書かれた声楽パートとバス・パートしか記入のない草稿の二つの形で存在している。早い時期の方の稿は、モーツァルトがアロイジア・ヴェーバーに初めて好意を寄せた頃の日付のもののようであり、後の時期の稿は、彼女のために書いた最後のものとなる。なぜ、モーツァルトがこの作品をしばらく手付かずの状態にしておいたかはわからないという。
歌詞は、メタスタージョの「中国の英雄」から採られている。中国の摂政の息子である主人公ゼヴィーノが第一幕で、恋人の王女リジンガと引き離される危機に際して歌うアリアである。

ああ、恵み深い星々よ、
もし天にあって
慈悲というものが失われていないなら、
いっそ私の命を奪うか、
私の愛する人をこのまま私にくださるか、
どちらかに。

いつもながらにそうして美しく
私の愛する人の優しい顔に輝く星々よ、
守って欲しい、真の愛を、
あなた方がこの胸に抱かせる真の愛を。

クリストファー・レイバーン(DECCAプロデューサ)は、この曲について下記のように述べている。
モーツァルトがアロイジア・ヴェーバーのために書いたすべてのアリアの中で、この曲はまばゆいばかりの光を放っている。彼女のための他の曲が、温かみと優しさを持って、まさに照り輝くのに対し、この曲は超絶的な声帯にしか、ほとんど関心を払っていない。モーツァルトもこれ以上難しい声楽作品はほとんど書いていない。

個人的には、やはりアロイジアのために書かれたK316のアリア「テッサーリアの民/不滅の神々よ、私は求めはしない」も、この曲以上に難曲と思うが、いずれにしても高度な技術/音楽性が要求される曲であることに変わりなはい。それにしてもグルベローヴァとかデセイの演奏を聴くと、コロラトゥーラというのは人の声というより楽器に近いものが感じられる。

7月の演奏会でこの曲を演奏することになった。これまで、モーツァルトの声楽曲は「フィガロ」のアリアを2曲やったことがあるだけなので、ひじょうに楽しみである。

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