冨嶽三十六景

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「日曜美術館」の新年第1回目の放送は、「冨嶽三十六景 北斎が見た富士を探せ」。
テーマ自体は真新しいものではないが、パソコン等を駆使したアプローチはなかなか面白かった。
まず、私も知らなかったのだが「尾州不二見原」、この絵は現在の名古屋市中区富士見町から描かれたとされているが、実際に富士山が見えるのかどうかというテーマ。
富士山から名古屋までの間の山々の高さを表した断面図、それを地表(地球)の丸さに対応してシミュレートするやり方は一目瞭然、ひじょうに説得力のあるものだった。結論としては富士山は見えないということなのだが、ほぼ同じ方向に南アルブスの聖岳という富士山によく似た形の山が見えるため、北斎はそれを富士山と考えたのではないかという仮説だった(なお、別途調べてみたところ、このテーマ自体は名古屋地方気象台のレーダーにより、富士山は見えないことが1976年に明らかになっている。また、愛知県でも知多半島あたりまで行くと実際に富士山が見えるという)。
また、「凱風快晴」や「山下白雨」が描かれた地点を探る分析では、パソコン上で、描かれたと思われる地点から見た富士山の形に、北斎がデフォルメしたような高さを強調する圧縮(2倍?)をかけたところ、見事にその形が一致する様子は見応えがあった。特に「山下白雨」の場合、視点を数百メートルの高さに上げないと実際に周囲の山々を見ることができないにもかかわらず、北斎はそれらをほぼ正確に描写していることも明らかにしていた。
近景と遠景の対比を始めとする、大胆ながら計算し尽くされた見事な構図、効果的で画期的なデフォルメの仕方など、「冨嶽三十六景」を見る度に、そして新しい分析(?)結果を知る度に北斎という人の偉大さをあらためて感じざるを得ない。
なお番組の最後の方で、北斎最晩年のさらに進化した富士の一部が紹介されていたが、続編としてそのあたりに焦点を当てる企画も面白いと思う。

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