クライバーの「リンツ」

久しぶりにクライバー=ウィーン・フィルのモーツァルト:交響曲第36番ハ長調「リンツ」(LD)を観ていて、突然、CDの「リンツ」(1990年代初め頃に購入)も持っていることを思い出したため、この演奏を聴いてみた。両者の録音データは下記の通り。
●CD(EXCLUSIVE/海賊盤)
録音:1988年3月20日 演奏時間:10:41/7:05/3:42/7:27
同日に録音されたブラームス:交響曲第2番と、1982年2月に録音されたハイドン:交響曲第94番が収録されている2枚組。
会場ノイズも少なからず聞こえる上に、音飛びなどもわずかにあるものの、録音状態は概して良好。3年後の映像ディスクに比べると、よりしなやかで躍動感に溢れ、優雅で格調高い名演。テンポも速めではあるが歌い込むところはしっかり歌い、緩急やダイナミクスの付け方がひじょうに自然でかつ効果的な名演と思う。
●LD/DVD(PHILIPS)
録音:1991年10月6・7日 演奏時間:11:07/7:29/3:55/8:01
第一楽章序奏を大きな三拍子で悠然と振り始めるシーンは圧巻(大鷲のはばたきに譬えている人もいたように記憶する)。全般的な解釈は3年前の録音とほぼ同じだが、映像で見るとよりクライバーの指示/意図がはっきりわかって興味深い。それにしてもクライバーの指揮ぶりを観るたびに、その指揮(指揮棒、腕、上半身、身体全体の動き)が音楽の表情を十全に具現化していることにあらためて驚嘆する。これ以上音楽的でかつ優美な指揮をする人は他にはいないことは誰もが認めることだろう。
ウィーン・フィルはコンマス:キュッヒル、2ndトップはヴェヒター、ヴァイオリンは両翼配置、木管はトゥレチェク、レーマイア、トゥルノフスキー、ツェーマン、金管はヤネシッツ息子、アルトマン、ジンガー、ホラー(なお、配置はオーボエ2人が前列右、向かって左にファゴット、後列左にホルン、右にトランペット)。

なお、両演奏とも、第一・四楽章提示部の反復は行っている。また、使用楽譜は両者とも同一で、
第一楽章序奏18小節のfpは各拍ウラ
第二楽章冒頭ファゴットなし、42小節はmf、48小節四拍目はH(シ♮)、55小節のヴァイオリン上向音型はノンレガート
第三楽章トリオ22小節ファゴットはDナチュラル
第四楽章132・367小節からのファゴットはコントラバスと同じ
などから、旧版(ブライトコプフ)と新版(ベーレンライター)の折衷的な版(ドナウエッシンゲンのフュルステンベルク侯宮廷所蔵版とも異なる)のようである。
なお、ほぼ同時期(1987年12月)に録音されたレヴァイン=ウィーン・フィル盤(DG)は原則としてベーレンライター版に従っているが、第二楽章55小節のヴァイオリンがノンレガート、第三楽章トリオ22小節のファゴットDナチュラルなど細部はやや新版とは異なっている。

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この記事へのコメント

カズ
2017年03月07日 14:03
最初の画像では、クライバーの顔を見て左側パルテレロージェの後ろ側にほうづえを組んだ青年が見えます。カメラはこの青年を映したくないのか、1楽章の中でも、明らかにこの青年が居る映像と居ない映像が出てきます。私には、音の区別は付かないですが、不思議なビデオです。

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