最近読んだ本 2012/12

●「天地明察(上下)」冲方丁著(角川文庫/2012.5)
江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること―。碁打ちにして数学者の渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!早くも読書界沸騰!俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。
映画化もされた名作をやっと読んだ。本作は史実を基にしたフィクションとのことではあるが、どこがフィクションであるかは別としてひじょうに面白く読ませる本だった。上下巻で計600ページ近い大作だったが、読み始めたら止まらず一日で読み終えた。

●「おとうさんは同級生」澤本嘉光著(幻冬舎/2012.7)
ライバル組織に狙われた組長の孫娘のボディーガードをするため、高校生として秘密裏にミッション系高校に編入させられた45歳のヤクザ・翔。毎朝メイクで若作り、ついたあだ名は“おっさんさん”。ところが組長の孫だと思っていたクラスメートの麻里は、別れた妻が知らぬ間に産んでいた自分の娘だった!?「娘に嫌われたくない!」なのに、過剰に麻里に干渉してしまう翔。麻里はそんな翔を疎ましく感じながらも、ある日翔に恋愛相談を持ちかける…。娘と2回目の高校生活を送ることになったヤクザが引き起こす、大混乱青春恋愛エンターテインメント。
著者はソフトバンク、トヨタ、東京ガスなどのヒットCMを制作している電通の人。浅田次郎の作品とはちょっと違うやくざ系エンターティンメントとして大いに楽しめた。

●「独立記念日」原田マハ著(PHP文芸文庫/2012.11)
恋愛や結婚、進路やキャリア、挫折や別れ、病気や大切な人の喪失……。
さまざまな年代の女性たちが、それぞれに迷い悩みを抱えながらも、誰かと出会うことで、何かを見つけることで、今までは「すべて」だと思っていた世界から、自分の殻を破り、人生の再スタートを切る――。
寄り道したり、つまずいたりしながらも、独立していく女性たちの姿を鮮やかに描いた、24の心温まる短篇集。

宮崎美子の「すずらん本屋堂」(BS11)で原田がゲスト出演した際(想像していた人とはややイメージが違った)に紹介されていた本で、「インディペンデンス・デイ」(2010.2)を改題、文庫化されたもの。しっとりとした24の連作短篇集。

●「一分間だけ」原田マハ著(宝島社/2007.4)
ファッション雑誌編集者の藍は、ある日ゴールデンリトリーバーのリラを飼うことになった。恋人と一緒に育てはじめたものの、仕事が生き甲斐の藍は、日々の忙しさに翻弄され、何を愛し何に愛されているかを次第に見失っていく……。恋人が去り、残されたリラとの生活に苦痛を感じ始めた頃、リラが癌に侵されてしまう。愛犬との闘病生活のなかで「本当に大切なもの」に気づきはじめる藍。働く女性と愛犬のリアル・ラブストーリー。
原田マハの作品中で未だ読んでいなかった一冊。自分にとって大切なこととはとか、生きる意味などについてあらためて考え直させられた。

●「置かれた場所で咲きなさい」渡辺和子著(幻冬舎/2012.4)
Bloom where God has planted you.
置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。
咲けない時は、根を下へ下へと降ろしましょう。
「時間の使い方は、そのまま、いのちの使い方なのですよ。置かれたところで咲いていてください」
結婚しても、就職しても、子育てをしても、「こんなはずじゃなかった」と思うことが、次から次に出てきます。そんな時にも、その状況の中で「咲く」努力をしてほしいのです。
現実が変わらないなら、悩みに対する心の持ちようを変えてみる。
いい出会いにするためには、自分が苦労をして出会いを育てなければならない。
信頼は98%。あとの2%は相手が間違った時の許しのために取っておく。
「ていねいに生きる」とは、自分に与えられた試練を感謝すること。

日版2012年の年間ベストセラー・ランキングでは阿川佐和子著「聞く力」に次いで第二位となっている。著者はノートルダム清心学園理事長。「一生の終わりに残るものは、我々が集めたものではなく、我々が与えたものだ。」など、どの言葉も心に響くものばかりだった。

●「オーケストラは未来をつくる~マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の挑戦~」潮博恵著(アルテス・パブリッシング/2012.10)
著者はお茶の水女子大学で音楽学を専攻後、法政大でMBAを取得、銀行員を経て行政書士が本職の音楽愛好家。マイケル・ティルソン・トーマス(MTT)とサンフランシスコ響の活動に感銘を受け、彼らの活動を紹介するサイトを立ち上げ、それが本書発刊につながったとのこと。
本書では、MTTとサンフランシスコ響の取り組み/成功ケースについてひじょうに具体的に説明されており、内容的になるほどと思うことばかり(例えば、単に子供や学生向けの教育プログラムを充実させるだけではなく、大人のアマチュア音楽愛好家向けのプログラムにも力を注いでいるなど)。オーケストラのマネジメントに携わる方々にとっては必読の書と思う。
著者は序章で、本書は「現代社会において、オーケストラが生み出す新しい価値とは何か?」という視点から探ると述べており、「オーケストラは未来をつくる」という書名にもなっているが、逆に言えば、MTT&サンフランシスコ響のような積極的な社会への働きかけや新しい取り組みなしには、オーケストラは今後生き残って行けないのではないかと感じられた。

●「作曲家 人と作品シリーズ モーツァルト」西川尚生著(音楽之友社/2005.10)
2006年のモーツァルト生誕250年に合せて発刊された書。著者自身があとがきで述べているように、モーツァルトに関する情報過多の状況の中、本書においては1991年以降に発表された単行書、博士論文、雑誌論文の研究成果を可能な限り盛り込むようにした上で、これまでの研究成果を反映させたとのこと。その意味でも、これまでの既存の書とはまた一味異なる内容となっている。アラン・タイソンの自筆譜研究成果が採り入れられていないことは残念ではあるが、かなり読み応えのある充実した一冊になっている。今後も適宜参照していきたい。

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