南桂子展 船の旅
7/22に放送された「日曜美術館 瞳の奥の限りない物語~銅版画家・南桂子~」(NHK-Eテレ)はひじょうに興味深い内容だった。南桂子という版画家は以前から知ってはいたが、番組ではその生い立ちやさまざまな作品が紹介され、山本容子の優れた解説、そして谷川俊太郎による南の作品に寄せた詩とその朗読は圧倒的に素晴らしいものだった。
それに刺激され、開催は今月末までという「南桂子展」に行ってきた(ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション)。南桂子の詩と童話、銅版画約50点の展示。
あの不思議な表情の少女をはじめ、鳥、魚、木々、花、城などをモチーフにした幻想的な画面。孤独な雰囲気の中から何かを訴えかける声が聴こえてくる。谷川俊太郎も「単なるメルヘンではない。鳥や少女がじっと語りかけてくる作品の力、それが南桂子の世界だ」と語っている。時にクレーを思わせる独特なヨーロッパの空気感に覆われた作品は、どれも明るい色調ながら、静謐でそして孤高の時間を切り取ったもののように感じられた。暑い中、行って良かったと思う。
この記事へのコメント
こないだ、まったく偶然にイヴァン・モラヴェッツ pf, ヨゼフ・ヴラフ指揮チェコ室内管の演奏を耳にしました。
SUPRAPHON SU 3809-2
この演奏が意外に(ソリストには失礼な話ですけれど)、とても良かったのです。華やかさはなくて、滋味というか、自己顕示がないような、味わいを感じました。第2楽章に8分11秒という遅さですが、遅速感はありません。
K.449, K.503 の2曲も同様の良さがありました。
もしお聴きでしたら、ご感想を伺いたくて、投稿しました。よろしくお願い致します。
コメントありがとうございます。
ご指摘の演奏は残念ながら聴いたことはありません。K488の録音は山ほどあるので、おそらくその半分も聴いていないのではと思います。この曲のポイント(?)は、第一、二楽章で内に秘めてきた情感を、終楽章でいかに解放するかという点だと思います。