「正しい楽譜の読み方~バッハからシューベルトまで~」

ウィーン音楽大学インゴマー・ライナー(Ingomar Rainer)教授による「歴史的演奏法(Historische Musikpraxis)」講義ノートであり、現代ギター2008年8月号から2009年6月まで連載されたものに補筆、単行本化されたもの。著者は大島富士子、現代ギター社から2009年9月に出版されている。
B5版85ページほどの薄い本だが、ひじょうに読みやすく、またひじょうに重要なことが書かれており、アマチュアを含めクラシック音楽を演奏する人にとって必読の書と思う。私自身、もっと早く買って読むべきだったと感じている。
著者は、「バロックからウィーン古典派までの楽譜には、記されていない大切な情報が多くあり、それを読み込まなくては、正しい演奏をすることはできない」、という前提に立ち、音楽に携わる者が必ず知っていなくてはならない基本的な情報や規則を分かりやすい表現で解説、ハンドブック的な手引きとなっている。
主な構成として、「テンポ」、「舞曲」、「装飾音符」、「アーティキュレーション」について解説される。

たとえば、「舞曲」の中のメヌエット。メヌエットは楽譜上では4分の3拍子だが、ダンス上のメヌエット・ステップは1回のパターンに6拍が必要(6拍子)であり、前へ進むステップに向かって音楽が流れる、そしてアウフタクトがあってもなくても、第2小節目の頭の拍に強拍がくることになるという(明示的に書かれてはいないが、少なくとも2小節を最小単位のフレーズとして捉えることが必要なのだろう)。
また、バロックから古典の時代は、2つの音がアーティキュレーションの基本単位として考えられていた、という話。特に、鍵盤楽器の例で、バッハの前期くらいまでは親指を使わないで鍵盤楽器を弾けることが美徳とされており、また弱拍には親指を使うことを忌避したということなどから、アーティキュレーションのラインが読めるという話は説得力があった。

詳しい引用は避けるが、この書においても、下記の3冊が最重要参考文献としてあげられていた。
○カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ:「正しいクラヴィーア奏法」
○レオポルト・モーツァルト:「バイオリン奏法」
○ヨハン・ヨアヒム・クヴァンツ:「フルート奏法」
私もそろそろ、これらの本をちゃんと読まなければと思う。

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