最近読んだ本2011/08

●「天使の歩廊~ある建築家をめぐる物語~」中村弦著(新潮文庫/2011.6)
第20回日本ファンタジーノベル大賞受賞作に加筆、修正を加え、2008年11月新潮社より刊行されたものの文庫化。
天才建築家は依頼者からの難しいオーダーに対して、誰も想像できなかった不思議な家を次々に造りあげる・・・。明治時代から大正時代に生きた建築家(造家師)、笠井泉二を巡る6編の物語をまとめた短編小説集。それぞれの短編が有機的に、また見事な構成で全体を一つの物語にしている。ファンタスティクで読後の満足感もあり、最近読んだ本の中ではベスト3に入る作品だと思った。

●「ロスト・トレイン」中村弦著(新潮社/2009.11)
「天使の歩廊」に刺激されて、もう一作この著書の作品(これが二作目らしい)を読んでみた。
鉄道ファンが廃線跡を探しに行き失踪、その人を追ってぼくと菜月さんは北へ向かうが、その廃線を辿って行った先に彼らを待っていたものは・・・。個人的には「天使の歩廊」以上にのめり込んでしまった。図書館で借りたのだが自分用に購入したい。もう一度読みたい素晴らしい作品。

●「小暮写眞館」宮部みゆき著(講談社/2010.5)
700ページを超える大作。「小暮写眞館」、「世界の縁側」、「カモメの名前」、「鉄路の春」の四話から構成されている。古い写眞館をそのまま住居用に買い取った両親、高校生の英一、その弟、家族をめぐるさまざまな物語。心霊写真の謎解きをきっかけに話はどんどん拡がっていく。ほのぼのと、しかし切なく、辛く同時にまた温かい・・・。特にエンディングは見事な演出。

●「星の塔」高橋克彦著(文春文庫/1992)
新刊ではないが、友人の推薦書。表題作ほか、「寝るなの屋敷」、「子をとろ子とろ」、「蛍の女」、「首継ぎ御寮」など7編を収録、いずれも東北地方の奇譚で、ジャンルとしてはホラーに入ると思われる作品が多い。中でも「星の塔」、ここでも建築家が登場し、山奥の屋敷と時計塔の修理を依頼されるが、そこには時空を超えた不思議な世界が待っていた・・・。かなり私好みの作品だった。

●「サイゴン・タンゴ・カフェ」中山可穂著(角川書店/2008)
「現実との三分間」、「フーガと神秘」、「ドブレAの悲しみ」、「バンドネオンを弾く女」、「サイゴン・タンゴ・カフェ」の5編を収録。それぞれ独立した短編だが、タンゴ/バンドネオンの響きが全体を通底する。舞台はブエノスアイレスからベトナムまで、作者ならではの濃厚で密度の高い恋愛が描かれる。

以上が特に感銘を受けた作品。これらには実は共通点があり、何らかの超現実的な世界(幽霊、時空を超えるetc.)が描かれていること。個人的にこれらの体験はないが、単に作り話ではなく本当にあり得ることだと思っている。とはいえ、ホラーとファンタジーは紙一重。実際にそういう事態に遭遇したら怖いとは思うが・・・。

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