「後のための目印」

先日のクレー展で見た「後のための目印」という作品が忘れられない。
http://zauberfloete.at.webry.info/201107/article_12.html
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原題は、<Merkzeichen fuer Spaeter>、1938年、クレー最晩年の作。
人らしき輪郭、その人がいろいろ大切なモノを集めているように見える。逆向きのハートに付けられた花が目印なのだろうか、何とも不思議な絵である。
この絵、実は元々一枚の絵だったものを、クレー自身が切り離して3つの作品にしたというもの。
○ボイオティアの少女/Maedchen aus Boeotien/17.8×31・・・今回は未展示
○後のための目印/Merkzeichen fuer Spaeter/33.6×31.2・・・おそらく今回が日本初公開と思う
○別れを告げて/Abschied nehmend/50.7×9.3(7.3)・・・この絵は以前にも日本に来たことがある
下の絵が「別れを告げて」。なお、2枚の写真は縮尺が異なり、本来「後のための目印」はもっと大きい作品で、この「別れを告げて」の高さの3/5くらいの大きさである。
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「後のための目印」の右側(下の線を合わせる)にこの「別れを告げて」が並んでいたのが元の絵。この男の子(?)の視線は、ちょうどハートとそれに付けられた花に向けられることになる。
そして、残った左上(「後のための目印」の上)には、「ボイオティアの少女」という女の子の顔(首から上)が描かれていた(今回未出展、図録には写真あり/web上では画像発見できず)。
「後のための目印」では顔か頭の輪郭のように見えていた線は、女の子の首から肩、左腕の輪郭線となる。
とういうことで、「後のための目印」は女の子の首から下の部分ということになる。ハートはちょうど左胸くらいにあたるので心臓であり、いろいろ描かれている大切なモノ(?)は女の子の身体の中に収まっているように見える。この3点セット(元の絵)は図録には載っており、それを見ると、右側と上側に別の絵がくっつくことにより、「後のための目印」の部分の見え方はかなり異なってくる。一般的な視線として、どうしても二人の顔の方に関心が行ってしまうため、女の子の心の中はかなりウエイトが低くなってその印象も薄まってしまう。
しかし「後のための目印」として、心の中の部分だけを切り出すことにより(身体の中から解放され)、心の中の風景がより自由に、大きくなり、見る側のイメージが無限に拡がっていくような感じを受ける。何とも単純ながら卓越した手法と思う。

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