「セビリアの理髪師」序曲~ベーレンライター版~

秋の演奏会で「セビリアの理髪師」序曲を演奏する。
この曲はこれまでに何回も演奏しているが、今回の楽譜が配られた時にその顔つき(?)の違いに驚いた。何とベーレンライター版(2008/BA10546)。手元にあったブライトコプフ版パート譜と日本楽譜出版社のスコアと比較してみた。
大きな違いとしては、25小節アレグロに入り(従来だとアレグロ・ヴィヴァーチェだったのが、今回はアレグロ・コン・ブリオ)、ひとしきりヴァイオリンが歌ったメロディを木管が引き継ぐフレーズ(34小節から)にスラーがかかっていること、中間部でロッシーニ・クレッシェンドに乗って木管群が繰り返し盛り上がって行くフレーズ(123小節から)にはファゴットが参加しておらず、ずっと低弦と同じ動きをしていること、そしてピウ・モッソ(225小節)に入って5小節からの低弦と一緒に動く八分音符のアーティキュレーション(今回はすべてスタッカートの指定)および最後までの動きがこれまでとは全く違うこと等々・・。他にも通常と異なる指定がされている部分が何箇所もある。
普通、版が異なる場合でも、アーティキュレーションやダイナミクスのわずかな違いしかないものと思っていたが、ここまで異なるというのは初めてのこと。また、アーティキュレーションやダイナミクスばかりでなく、例えば21小節の3拍目、通常はソ‐ナチュラル(短調)になる箇所がソ‐シャープ(長調)になっていたりする。
ベーレンライター版のことなので、これがおそらく作曲家の自筆譜に近い形なのであろうと思われるが、これまで使用していた楽譜は一体何だったのだろうかという疑問も残る。
そして、ここでもベーレンライター版の最大の課題(?)とも言うべき問題点が発覚した。
先ほども指摘した、34小節オーボエ、ファゴット、クラリネットで奏されるフレーズには八分音符4つにスラーがついているのだが、後半もう一度出てくる163~164小節には何とスラーが付いていない。ベーレンライター版のスコアを借りて参照したところ、このスコアには通常のオーボエ2本版とは別にオーボエ1本版も併記されており、そちらは2回目にもスラーが付けられていた。この事実を踏まえた上で、指揮者にこの箇所はロッシーニのスラー付け忘れ(もしくは意図的な省略)ではないかと質問したところ、納得いただけて、この箇所も最初と同様にスラーを付けることとなった。
今回は話の通じる指揮者の方で良かったのだが、指揮者によっては「作曲家が書いた通りに」演奏せよと言い張る人もいるので注意が必要である。

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  • 「セビリアの理髪師」序曲のファゴット・ソロ

    Excerpt: 秋の演奏会で「セビリアの理髪師」序曲を演奏する。これまで何回か演奏したことはあるが、今回はベーレンライター版を使用する。 http://zauberfloete.at.webry.info/2011.. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2011-09-11 22:40