ハイドン:交響曲第87番イ長調

来週の演奏会でこの曲を演奏する。
地味で滅多に演奏される機会のない作品だが、魅力に溢れる佳曲と思う。
ハイドンの6曲のパリ交響曲の作曲順序については、ハイドン自身によって第82・84・86番が1786年、第83・87番は1785年の作と自筆譜に記入されており、そして第85番については1785年の作と推定されているようであるが、いずれにしてもこの第87番がパリセットの最後の曲ではなく、最初の方に書かれた曲であることは間違いない(なお、ハイドン自身の1787.8.2付のアルタリア社に宛てた書簡の中には、交響曲の順序は第87、85、83、84、86、82番であるという指摘がある)。
アーノンクールはこの交響曲について、「めずらしい調性、極端な物語、全く異常な形式!」と述べている。
ハイドンによる8曲のイ長調の交響曲のうち最後の曲でもあり、他の作曲家でもイ長調の交響曲というのは、モーツァルトの29番(他にもあと2曲あるが)、ベートーヴェンの第7、そしてメンデルスゾーンの「イタリア」くらいしかすぐには思い浮かばない。
楽器編成はトランペットやティンパニを欠いたFl1,Ob2,Fg2,Hr2の7人および弦五部という簡素なもの。
第一楽章はイ長調、四分の四拍子、ヴィヴァーチェ。序奏なしにいきなり明るい第一主題が提示される。絶えず刻まれる八分音符のリズムの上に対話のようなパッセージが受け答えされる。展開部は激しい短調となり、それが徐々に静まって行き、やがて訪れる2小節のゲネラル・パウゼ。緊張の中、再び開始された弦の刻みに乗って1stヴァイオリンが冒頭の主題に戻るまでの効果は息をのむほどひじょうに素晴らしい。
第二楽章は二長調、四分の三拍子、アダージョ。祈りのような極めて静謐な音楽で、ハイドンの交響曲の緩徐楽章の中でも最も美しいものの一つと思う。フルートの華麗なオブリガートに続き、弦楽器の六連符の伴奏に乗って歌うオーボエ。ここでも再現部に戻る直前のフルートに導かれる転調の美しさは特筆もの。終わりには木管群のコンチェルタンテもついている。
第三楽章はイ長調のメヌエット。装飾音符的なリズムで一貫する晴れやかな舞曲。トリオはオーボエが伸びやかな牧歌を歌う。
終楽章はイ長調、二分の二拍子、ヴィヴァーチェ。ロンド形式で繰り返し奏される主題と、それに挟まれたフェルマータによる半終止が見事な効果を上げる。巧みな転調と響きの遊戯、そして優雅で気品に富んだ楽章は、終わって欲しくないという想いに反し、あっという間に駆け抜け、聴き終わった者に爽やかな余韻を残す。

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  • 秋の演奏会終了

    Excerpt: この秋一回だけの演奏会(私が所属しているオケ)を終えた。 今回もまた、1100名を超える方々においでいただいた。あらためて感謝の意を表したい。ありがとうございました。 プログラムは下記の通り。 .. Weblog: Zauberfloete 通信 racked: 2010-11-21 16:55