ベートーヴェン:ロマンス ト長調作品40

この間聴いたコパチンスカヤの演奏があまりに衝撃的だったので、他の演奏を聴き直してみた。
http://zauberfloete.at.webry.info/201009/article_14.html
聴いたディスクは下記の通り。他にもまだあったように思うが、ベートーヴェンのVnコンチェルトと組合わされているもの以外はズーカーマンのものしか発見できなかった。
●グリュミオー/ワールト=ニューフィルハーモニアO(1971/PHILIPS)
模範的名盤。美しい音色で爽やかに歌う。
●ズーカーマン/セントポール室内O(1986/PHILIPS)
ゆったりしたテンポで朗々と歌う。ロマン的な演奏。演奏時間7分14秒は最長の方だと思う。
●ツィンマーマン/テイト=イギリス室内O(1987/EMI)
意外にゆったりと朗々と歌う演奏、テンポも遅め。美しい音色。
●スヴェンセン/プレヴィン=ロイヤルPO(1987/RCA)
スタンダードな秀演。特にヴァイオリン・ソロのフレーズはやや速めで二拍子系で弾いている。
●ムター/マズア=ニューヨークPO(2002/DG)
弱音を駆使した濃厚でたっぷりとした演奏。ホ短調からまたト長調に回帰した直後、Hからの三連符で上昇する音型のダイナミクスには驚かされた。

そしてコパチンスカヤの演奏。決定的に他の演奏と異なる点は、この曲の本来の指定通り二分の二拍子で弾いていること。自筆ファクシミリを見てもこの曲の速度指定は何も書かれていない。が二分の二拍子の記号ははっきりと書かれている。
冒頭ヴァイオリンのドッペル・ソロの箇所、コパチンスカヤは意識的に各小節の時間(?)を詰めており、トゥッティのオケも完全に二拍子として感じている。テンポはそれほど速くはないのだが拍子の感じ方によってこれほど音楽の表情が変化してしまうものかと思う。
最も印象的なのは、20小節からのヴァイオリン・ソロが始まって5小節目。G-Fis E-D/D CisCis A-G Fis-E/E D あたりのフレーズの歌い方。他の演奏はしっとり(またはねっとり)歌うところを、コパチンスカヤは思い切り姿勢を正して凛々しく演奏する。さらに上のAに向けて絶妙な短いスケールのアインガンクも加えている。
このような演奏を聴いてしまうと、音楽というものはその演奏によって思いもよらない世界が拓けてくる、ということをあらためて感じざるを得ない。もちろん、コパチンスカヤのような天才でないとそのような解釈はできないのだとは思うのだが・・。

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