ドイツ管クラリネット

クラりネットには大別して、フランス管(ベーム式)とドイツ管(エーラー式)の二つのタイプが存在する。
両者の最大の違いは管の形状であり、ドイツ管の内径は上管から下管までほとんど円筒で、ベル近くになって急速に開く。音色は変化に富み、温かく内省的。一方のフランス管は、指遣いの簡素化を行いつつ、下管の内径のテーパーを早めに拡げ、メガホン効果によってより大きく派手な音が出るような構造になっている。マウスピースやリードはドイツ管のものより一回り大きい。
また、キーの構造も、右手小指が扱うキー始め両者では外見上もかなり異なっている。
さらに、両者の折衷として、ドイツ・ベーム式(リフォームド・ベーム)という楽器も存在する。これは、内径や仕掛けはドイツ管と同じだが、指遣いはベーム式という楽器。N響のI氏もこの楽器を使用していたという。

さて、本論はここからで、ドイツ管にも二種類(ドイツタイプとウィーン/オーストリアタイプ)あるということ。
ドイツのプロ奏者が使用している、オスカール・エーラーが開発した「エーラー・メカニズム」を備えた「エーラー式」と、ウィーンを初めとするオーストリアのプロ奏者が使用している「ウィーン・アカデミー式」の二つ。が、両者間にはほとんど本質的な違いがないことと、エーラー式の方が圧倒的にユーザーが多いので、一般的に両者をひっくるめて「エーラー式」、あるいは「エーラー・クラリネット」と総称されている。
それでは、エーラー式とウィーン・アカデミー式ではどこが違うのか。
右手中指で押さえる真ん中のトーンホール(音孔)が、エーラー式ではカバードキイになっているのに対し、ウィーン・アカデミー式ではリングキイになっていること、さらに、エーラー式では、カバードキイの近くに同時に開閉するサイドキイが2つ設置され、通気を更に改善しているのに対し、ウィーン・アカデミー式では、下管のかなり下の方に通気用のサイドキイが一つだけ設けられているという点が最大の違いとのこと。
他にもベルリングの有無(エーラー式にはない)や、中音A/Gis連動の有無、トリルキイの位置や僅かな内径(ボア)の違いなどがあるらしい。このあたりになると、素人では手に負えない領域である・・。
エーラー式のメーカーの代表はヴルリッツァー、ウィーン・アカデミー式の代表はハンマーシュミット。そして、ドイツとオーストリアでは些細な違いにもかかわらず、お互いに全く隣国のクラリネットを使おうとしないという。

ベルリン・フィル現首席のヴェンツェル・フックスは、元々ペーター・シュミードル門下だが、現在はライスターが使っていたヴルリッツァー(ベルリン・フィル所有)を使用しているという。
今回、ベルリン・フィル首席に就任するというアンドレアス・オッテンザマー、
http://zauberfloete.at.webry.info/201008/article_13.html
楽器は、ハンマーシュミットを使うのだろうか、あるいはヴルリッツァーを使うのだろうか。

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この記事へのコメント

楽器
2010年09月10日 13:30
アンドレアス氏はクロンターラーという日本では非常に珍しい楽器を使っています。ドイツではかなり知られた楽器です。
2010年09月10日 21:35
楽器さま
わざわざ教えていただきありがとうございました。早速調べてみます。

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