最近読んだ本2010/1~2010/2

●「オペラ・ノート」吉田秀和著(白水uブックス/2009.9)
1991年に白水社から出版されたもので、モーツァルトやヴァーグナーのオペラを中心とした演奏会/ディスク評および吉田氏の体験・想いなどが語られる。
ヤナーチェクの「利口な女狐の物語」の素晴らしさ、「ばらの騎士」の(モーツァルトを除けば)最もオペラ的なものの精華について、こたえられぬ「コジ・ファン・トゥッテ」の味、などなど、吉田氏の文章を読んでいるとあらためて実際にその曲を聴きたくなってくる・・・。自分が聴き逃していたその曲の素晴らしさを教えてくれるからなのだろう。

●「静人日記」天童荒太著(文藝春秋/2009.11)
「悼む人」の主人公、坂築(さかつき)静人の日記という形をとった書。
http://zauberfloete.at.webry.info/200909/article_18.html
そもそも「静人日記」は、「悼む人」という小説を書くために著者(天童)自身が個人的につけていた日記だとのことで、当初は発表する予定はなかったという。
ストーリー的にはこの日記が小説につながるような形にはなっているものの、これはこれで小説にはない何とも言えない雰囲気を持っている。およそ200日間の日記の中で、毎日さまざまな登場人物により、近しい人の死と、その人に対する周りの人々の愛が語られていく。200編あまりの「生と死と愛」の物語はそれぞれ独立した相互には関係のない短いものばかりだが、通底している亡くなった人への想いは、あらためて私自身の日常生活におけるものの見方や感じ方を変えるきっかけを与えてくれたことは間違いない。

●「ハッピー・リタイアメント」浅田 次郎著(幻冬舎/2009.11)
浅田次郎の作品の中では、「きんぴか」、「プリズンホテル」、最近では「椿山課長の七日間」に通じる路線。定年を四年後に控えた二人の主人公が天下り組織の再就職先で繰り広げるドタバタ劇。登場人物の描き方、キャラクターの際立たせ方は浅田氏ならではの面白さで、エスカレートの仕方は尋常ではない。浅田氏自身が体験した事実に基づくというこのストーリー、現実的かどうかは別にして少なくともエンターテインメントとしては理屈抜きに十分楽しむことができた。

●「つばさよつばさ」浅田次郎著(小学館/2007.9)
久しぶりに浅田次郎を読んで刺激されたので、新刊ではないが未だ読んでいなかったエッセイ集を読んでみた。JAL機内誌「SKYWARD」に連載されていたものの単行本化。「旅」にまつわる、食、買い物、観光などをテーマにしたエッセイ集。いかにも浅田らしい視点、アプローチが笑い、涙を誘い、読む人を満足させる。

●「日本観光ガイド」酒井順子著(光文社/2010.1)
酒井順子の最新作。「小説宝石」に連載されていたものの単行本化。体裁は外国人観光客向けの日本の観光ガイドという名目(?)になっており、お辞儀、スシ、相撲、温泉、桜、歌舞伎、京都、城、富士山、皇室など、さまざまな日本的テーマが酒井流の視点で分析される。普段何とも思っていない我々の日常について、外国人的視点で見直してみると、それらがいかに伝統に基づく慣習、人に対する気遣い、暗黙の了解などによって形作られていることがわかる。それが良いか悪いかは別にしてそのような外国人からの視点は、我々自身を客観的に見つめ直すきっかけとしても大変参考になることは間違いない。

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