モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調K488~聴き比べ その10 最終回~

今回はとりあえず最終回ということで、これまでに聴き残した下記の3種類を採り上げる。これまで採り上げなかったがぜひ聴いてみたかったのはシフ&ヴェーグの演奏(DECCA)。現在、単売はされておらず入手することはできないのであきらめたが、それ以外の主要な演奏は一通り聴けたと思っている。
●グート/オルフェウス室内O(nonesuch/1981.12) <11'02"/7'28"/7'35">
全曲を通じ、ピアノの音色は美しく、テンポも自然、オケとのバランスも素晴らしく、音楽づくりも極めてオーソドックスで普遍的、模範的な演奏と思う。意外な名演だった。
オケはややバスが強めなのが好ましい。52小節の木管は3回目を弱くするやり方。特記することがないほど自然な音楽の流れ・・。カデンツァはモーツァルト作。
第二楽章はかなり遅めのテンポ。美しい音色でしなやかに、嫋々と歌われる。46小節から47小節にかけてわずかにクレッシェンドするというアプローチも面白い。
終楽章はまったく適正なテンポ。音楽の流れも自然で高揚感も素晴らしい。265,273小節の前打音は両者とも完全に四分音符(+四分音符)による演奏。311小節、私の大好きな、フルートによるスケールの前半、スラーをかけているように聴こえたのは耳のせいなのか・・。
●ツァハリアス/ジンマン=シュターツカペレ・ドレスデン(EMI/1985) <10'43"/6'35"/7'48">
以前はEternaから出ていたが、EMIの全集に収められている。
ピアノ、オケとも美しいが第一楽章はやや急ぎ気味のテンポ、第二楽章の装飾はやや耳につく。終楽章は音楽の流れがひじょうに素晴らしい。
第一楽章、先を急ぐ感じがやや落ち着かない印象を与える。98小節、228小節の三拍目の休符は普通長くとる人が多いのだが、むしろ短めくらいにとっている。ピアノのタッチ、音色は美しい。
52小節は3回とも同じダイナミクス、120小節はディミヌエンド、252小節にかけてはクレッシェンドしている。カデンツァはモーツァルト作。
第二楽章は冒頭、弱音を生かした静けさが漂う・・。しかし禁欲的な演奏ではなく、25~6小節始め53小節以降はかなりの装飾で慣れないとやや鬱陶しい。
終楽章の冒頭8小節を一つのフレーズとしてとらえ、トゥッティに向かってクレッシェンドしていくやり方はユニークだがなかなか説得力はある。ピアノとオケのかみ合い方も良好で音楽もよく流れる。265,273小節の前打音は四分音符の音価で奏される。
●フライシャー/シュトゥットガルト室内O(SONY/2008.7) <11'31"/7'09"/7'54">
最新録音。オケの音色は爽やかで美しい。52小節の木管は3回目に向かってクレッシェンドする(122小節も同様)。第二主題、101小節あたりでわずかなルバートをかける。カデンツァはモーツァルト作。終わり311小節でかなりのディミヌエンドをかけるのが効果的。
第二楽章はかなりゆっくりめのテンポで開始される。クラのソロはひじょうに美しい。35小節からの2ndクラの分散和音もテヌート気味の処理。83小節後半、ファゴットがリタルダンドをかけて弦に受け渡すのもなかなか自然。96小節以降、楽器が増えるにもかかわらずディミヌエンドをかけるのは見事。
終楽章は心地よいテンポ。弦も独特の質感で美しい。265,273小節の前打音は短めの演奏。オケは文句なく美しいが、問題はピアノ。125小節、363小節あたりの粒が揃わないのが最大の難点。他が優れているだけに惜しい。

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