モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調K488~聴き比べ その6 内田光子の2つの録音~

内田光子による新旧2つの録音の聴き比べ。1986年録音盤は素直で若々しく、特に終楽章での解放感が素晴らしい。2008年の録音は円熟と深みが加わりさらに細部が磨きあげられている。
●内田光子/テイト=イギリス室内管弦楽団(PHILIPS/1986.7) <11'23"/7'19"/7'47">
オケは小編成でピアノとのバランスも良く、アンサンブルも優れている。何より、内田の音色、タッチが美しい。オケもやや腰が軽い点と木管の音色がイギリス的ということを除けば、一つの典型的なタイプの名演と呼んでも良いのではないかと思う。特に終楽章の解放感というか音楽の自然な流れは見事。
第一楽章、52小節の木管はだんだんディミヌエンドする奏法、122小節も同様だが252小節にかけては逆にクレッシェンドをかけている。また、114~116小節にも大きなクレッシェンドをかけている。189小節の八分音符に入る前の大きな間はなかなか効果的。カデンツァはモーツァルト作。
第二楽章は遅めのテンポ。22小節あたりからのpppはすごい・・。終楽章は心地よいテンポで一気に歌い上げていく。265小節のクラリネットの前打音は短めの演奏だが273小節のピアノはAの音を前打音的に弾きながらGの音にトリルをかけている。
●内田光子/クリーヴランド管弦楽団(DECCA/2008.12.4,5 LIVE) <11'42"/6'48"/8'18">
1986年録音に比べ、より細部は磨き上げられ、仕上げもていねいな印象がある。ぺライア盤とはまた一味違った、静けさというか緊張感のある独特の世界を持っている。それを息苦しいと感じるか、あるいは完璧な彫琢の美しさと感じるかは、聴き手の精神的なゆとりの状況に依るのではないかと思われる。最新録音のSHM-CD仕様であり、ピアノやオケの響きはクリアで雰囲気のある素晴らしいもの。
冒頭、13、14小節のオケのアッコードを聴いただけでただならぬ雰囲気が漂ってくるのが感じられる。52、120小節は特に大きくも小さくもしないやり方。252小節に向かってはクレッシェンドしている。268小節あたりからの木管とピアノのバランスは見事。カデンツァはモーツァルト作。
アダージョは遅めのテンポで始まるが微妙にテンポを揺らすことで抒情さが増している。
終楽章は一歩一歩踏みしめる感じの演奏。冒頭、ピアノソロの最後の箇所、左手はオクターヴ下げているようにも聴こえる。135小節からの小節単位のフレーズでは、真ん中をふくらましながらテンポも揺らすという表現。265、273小節は前録音と同じやり方。
http://zauberfloete.at.webry.info/200908/article_10.html

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