モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調K488

1786年3月2日、ヴィーンの作とされているこの曲は第22番(K482)や第24番(K491)とともに、四旬節のコンサートのために作曲された。同じ年の8月、モーツァルトは子供の頃のパトロン、フュルステンベルク侯に5作品の筆写譜を売り込んだが、その中にはこの作品も含まれていた(他にK451,K453,K456,K459)。モーツァルトは手紙の中で、これらの作品は「ぼくが自分のために、あるいは愛好家や音楽通の小さなサークル」のためのものだと述べている。それゆえ、これらの曲は「よそで知られることはありません。なぜならヴィーンでさえこれらは知られていないのですから」と述べ、侯に「他人の手にお渡しにならないように」と頼んでいる。
また、最近の研究によれば、この曲は当初クラリネットではなくオーボエがその編成に含まれており、第一楽章は1784~1785年頃に着手された可能性があるという。
モーツァルトのピアノ協奏曲の中でも有名で人気の高いグループの一曲であり、トランペットやティンパニを含まない、そしてオーボエに代わるクラリネット2本を中心としたオーケストラの静かな音色、第二楽章、嬰へ短調/シチリアーノで切々と歌われるアダージョの美しさ、そして終楽章の明るいロンド、などがその人気の理由と思われる。
ニール・ザスラウは、この曲をモーツァルトの「最も完全な傑作」と呼んだが、確かにこの曲の終楽章ロンドを聴いていると「天衣無縫」、「完全無欠」、という言葉が浮かんでくる。これほど次々に見事な場面が現れながら、それが自然な流れと完璧な調和を持って一つのまとまりを成している曲を私は他に知らない・・。とにかく、モーツァルトが天才であったことの証としての代表的な一曲であることに間違いないだろう。
来年4月のコンサートでこの曲を演奏することになった。私にとって以前からとびきり大切な曲であったがこれまで演奏する機会のなかったこの曲。最近、折にふれてこの曲を聴き直しているが、歳のせいか、聴いていてあまりの美しさ(というか奇跡に近い瞬間)に胸が熱くなるのを抑えきれなかったりする・・。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック