ハイドン:交響曲第101番ニ長調「時計」

7月の演奏会でこの曲を演奏する。
この曲は、5年前、私が現在のオケに入った時のデビュー演奏会の曲目だったのだが、第三楽章トリオ後半で、普通では絶対に考えられない他パートの事故に巻き込まれ撃沈したという苦い思い出が残っている・・。それ以来、他のパートを聴くのはやめようとも思ったのだが、そうするとアンサンブルはできなくなるので聴かない訳にはいかない・・。しかし、万一の事態というものは起きないとは限らないという心の準備だけはしておくようになった。
一応、全貌からディテールまで知り尽くしてはいる曲なのだが、復習および演奏上のヒントを得るために家にあるCDをできる限り聴いてみた。以下、鑑賞順。
○カラヤン=ベルリン・フィル(EMI/1971.8)
LP時代から最も回数多く聴いた演奏。録音もいささか古くなり、ハイドンにしては重いという見方は否定できないが、ゴールウェイ、コッホ、ピースクという絶頂時代のベルリン・フィル木管パートの上手さは他のいかなるディスクでも聴けない貴重なもの。特に終楽章、カラヤンの気合も相当なものでライブ盤のような熱い演奏が聴ける。
○カラヤン=ベルリン・フィル(DG/1981・1982)
DGへの再録で、デジタル録音最初期の録音。EMI盤に比べるとさすがにかなりクリアな音づくりとなっている。解釈は旧録とほとんど変わっておらず、第二楽章の(スタッカートを無視した)歌い方もまったく同様。違うのは、第一楽章序奏のフェルマータの中からプレストの主題が始まるところで、この効果は素晴らしい。また、トリオの後半でトランペットが外している(のを敢えて修正しようとしない)のもカラヤンらしい。
○ディヴィス=ロイヤル・コンセルトヘボウO(PHILIPS/1979.5)
極めてオーソドックスで格調高い演奏。オケの音色は派手さや華やかさはないが録音の良さも相まってしっとりと聴かせる。オケは比較的大編成だが小回りもききスマート。普遍的な名演と思う。
○ヨッフム=ロンドン・フィル(DG/1973.2)
どちらかと言えば古いスタイルに属するが、演奏自体はなかなか優れており、特に終楽章のトランペットの強奏などはヨッフムらしい。なお、第二楽章のスタッカートはカラヤン同様無視されている。この頃のDGの録音としては高弦が華やか(クラウス・シャイベの録音)。
○ショルティ=ロンドン・フィル(DECCA/1981)
ディヴィス盤以上に、一般的なハイドンのイメージ(爽快で軽やか)に最も近い演奏ではないかと思う。第一楽章の序奏が異様に遅い他は概して颯爽としたテンポで心地よい。また、第二楽章冒頭の繰り返した二回目をピアニッシモで演奏しているのも面白い。
○ブリュッヘン=18世紀オーケストラ(PHILIPS/1987.3)
当たり前だがかなりピッチは低い。金管やティンパニのアクセントの付け方やフレーズ感は明らかに今までの演奏とは異なり、かなり鮮烈。第一楽章48小節のフェルマータの異常な長さ。トリオ後半のフルートとファゴットの対話の表情の付け方はかなりユニーク。
○ロペス・コボス=ローザンヌ室内O(DENON/1993)
オケは小編成で見通しも良く、録音も極上。ティンパニも小気味良く響く。第二楽章の装飾音符の扱いがやや変わっているあたりまでは良かったが、第三楽章はあまりのテンポの速さに閉口。ちょっとこれでは普遍性に欠けると思った。残念。
○ヘルビッヒ=ドレスデン・フィル(Deutsche Schallplatten/1974.4)
現代楽器によるオーソドックスな演奏だが、オケの響きは木の香りのするややくすんだ響き。全体にのんびりした暖かい雰囲気でリラックスして聴けるが緊張感には欠ける。
○フィッシャー=オーストロ・ハンガリアン・ハイドンO(NIMBUS/1987)
このレーベル特有の風呂場の中のような録音はクリアさに欠けるが、オケはウィーン・フィル・メンバーの貢献もあると思うがなかなかの名演。特にメヌエットのテンポの落とし方や雰囲気のある歌い方には魅了された。と、ここまで聴いてきて、ウィーン・フィルによる「時計」のステレオ録音は未だにないのではと思い当たった。PHILIPSのプレヴィンによるハイドンが中断してしまったのは残念でならない。
○レッパード=スコットランド室内O(ERATO/1985)
小編成で楷書的なきっちりした演奏、テンポはややゆったりめ、耳に心地よいクリアな録音。オーソドックな演奏と思ったが、メヌエットのトリオ、フルート・ソロの伴奏をかなりテヌートで弾かせるのはユニーク。終楽章も速すぎることなく堅実なテンポ。全体に余裕が感じられる。
○マリナー=アカデミー室内管弦楽団(PHILIPS/1977.10)
あらためて聴いてみるとこの楽団もあなどれない実力を持っていることがわかる。薄い響きではないが見通しもよく、第一楽章175小節あたりのファゴットがこれだけ聴こえるのも珍しい。第3楽章のアーティキュレーションは旧版か?また、トリオの前半、ハイドンの意図を無視して弦の伴奏を2回目と同様に改変している。

これ以外にも、ビーチャム=ロイヤル・フィル(EMI/1960)、パイヤール=イギリス室内O(RCA/1980)などのディスクもあったのだが、さすがに疲れたため全部聴くことはできなかった。

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