ドイツ民謡集~ヴェルニゲローデ少年少女合唱団~

今から約30年前、銀座山野楽器で買った一枚のレコードから話は始まる。
フリードリヒ・クレル指揮、ヴェルニゲローデ少年少女合唱団という団体が歌う、「ドイツ民謡集Ⅰ」というLP(Deutsche Schallplatten/1976)で、レコード芸術の広告か記事でその存在を知って試しに買ってみたのだが、私にとって生涯の愛聴盤となることとなった。
*ヴェルニゲローデというのは、旧東ドイツ、現在のザクセン・アンハルト州に属し、地理的にはベルリンとフランクフルトの間あたりに位置している。

曲目は、有名な「野ばら」を始め、「砂の精」、「狩人が角笛を吹いた」、「旅は水車屋の喜び」などの親しみやすい民謡を集めたもの。基本的に無伴奏で歌われ、時にギターとフルートが控えめに加わる。
美しいハーモニーと、素朴で純粋無垢、清冽な歌声、伸びやかでしなやかなその表現、躍動的で生き生きとしたリズム感、レガートを基調としつつ適度で適切なメリハリの付け方、効果的なダイナミクスと、見事な完成度で聴く人の胸に迫ってくる演奏・・。私はいっぺんに魅了され、この合唱団の響きの虜となった。本当にこのレコードを何回聴いたことだろう。
編曲や曲順も巧みに工夫され、レコードの片面ごとに完結するように構成されていた。そのため、CD化された後も私はオリジナルのA面の終わりで一旦休止していたものである。
そして私は当時、会う人にこのレコードを勧め続けたのだが、ほとんどの人がその素晴らしさに共感してくれたことを思い出す・・。
その後、このシリーズは以下のように発展していく。
○ドイツ民謡集Ⅱ ローレライ/「リネン織工」、「硫黄マッチ」、「ローレライ」、「あの下の森には」などを収録
○ドイツ民謡集Ⅲ 子守唄/「菩提樹」、「まことの愛」、「ブラームスの子守歌」、「シューベルトの子守歌」などを収録
○ドイツ民謡集Ⅳ 木の上にカッコウが 
*このディスクは1981年6月録音というデータがついており、第3集がリリースされたのが1970年代終わり頃だったと記憶している。私もLPで持っていたのは第3集までで、その後はCDに移行する。
○ドイツ民謡集Ⅴ セレナード (1989年1月録音)
○ドイツ民謡集Ⅵ 聖夜に寄せて (1992年10月・1993年2月録音)
○ドイツ民謡集Ⅶ ドイツ学生の歌/2枚組 (1994年録音)
○ドイツ民謡集Ⅷ 子守歌集「すべては安らぎの中で」/2枚組 (1995年2~6月録音)
ここで私のコレクションは終わるのだが(その後新しい録音が行われたかどうかについてはわからない)、私が本当に聴き込んだ演奏は実質的に第3集(演奏の水準としてはこのディスクが頂点と思う)までで、特に1990年代に入ってからの録音は以前ほどのインパクトというか感動に欠ける。(以下は個人的な想像だが)理由として、合唱団員の年齢が高くなってしまったこと、旧東ドイツの消滅がこの合唱団に対しても何らかの影響を与えたのではないかということが考えられる。
それはさておき、第3集までの演奏は本当にどれも絶品で、私にとってかけがえのない存在となっている。
先日、アンサンブル・ヴォーカルツァイト(http://zauberfloete.at.webry.info/200903/article_6.html)が歌う「ローレライ」と聴き比べようとして、この第2集のディスクを取り出したのだが、本当に久しぶりに聴くこの合唱団の美しい歌に思わず涙してしまった・・。
そして、このヴォーカルツァイトのメンバーの一人(テナー):ヨアヒム・フォクトが、かつて上記第5集までの各ディスクでソロ(歌の第二節など、曲の一部のソロ)を歌っていた人であるという事実を知った時、何とも言えない不思議なつながりを感じざるを得なかった。

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