異名同音
東川清一著「だれも知らなかった楽典のはなし」(音楽之友社/1994)を読んでいたら、いわゆる「異名同音」について書かれている箇所があった。
「異名同音」とは、たとえば嬰トと変イのようにピアノでは結局同じ鍵で奏される同一音高の二つの音のことを言うのだが、理論的にはこの「異名同音」は決して「同音」ではなくて、僅かながらも互いに音高差を持つ二つの音であるという。
「55分割法」によれば、一オクターヴを55に分割すると、全音は9/55に該当し、さらに半音というのは、4.5/55ではなく、5/55と4/55の二つの半音があるとのこと。具体的には、
ト⇔嬰ト(増1度)の関係は、4/55、
嬰ト⇔イ(短2度)の関係は、5/55、になるという。また、
ト⇔変イ の関係は、5/55、
変イ⇔イ の関係は、4/55、になる。
つまり、嬰トの方が、変イより1/55低い、ということになる。
そして、ピアノの調律(12平均律)においては、シャープ系の音を、0.5/55だけ高めにとり、フラット系の音を、0.5/55だけ低目にとるという操作をしていることになる(単にそれだけではなく、一オクターヴを48に分割し、全音を8/48、半音を4/48としてしまっている)。
先月の茂木大輔氏のブログに「展覧会の絵」の秀逸な分析があり、その中で「古城」の調性について言及されている。http://blogs.yahoo.co.jp/mogidaisuke/56605052.html
ムソルグスキーの指定はシャープ5つの嬰ト短調。しかし、茂木氏は実はそうではなく、変イ短調(フラット7つ)ではないかと推理する。直前のプロムナードが変イ長調、変イ短調の「古城」をはさんで次のプロムナードが(ロ長調ではなく)変ハ長調で開始され、途中からロ長調に変わり、「チュルリー」のロ長調から「ブイドロ」の嬰ト短調に至るのでは、というシナリオである。ひじょうに説得力のある仮説であり、まったくその通りではないかと思う。
さらに茂木氏は、36、45小節のオーボエ・ソロも、Dis-Cis-Hではなく、Es-Des-Cesなら何でもないとも述べている。
同じようなことが冒頭のファゴット・ソロにも言えるのではないか。Dis-E-Dis-Fis-E-Disという動きも、Es-Fes-Es-Ges-Fes-Esの方が自然のように私にも思われる。先ほどの理論に従えばフラット系の音階の方がシャープ系の音階より1/55だけ高くなる訳で、上記の違いは単にその微妙な高さの違いだけの話なのではあるが、自然に感じられるのはなぜなのだろうか?管楽器奏者は、同じ指遣いでありながら、フラットやシャープが付いた時の音高を微妙に吹き分けている、ということなのだろうか・・。不思議である。
「異名同音」とは、たとえば嬰トと変イのようにピアノでは結局同じ鍵で奏される同一音高の二つの音のことを言うのだが、理論的にはこの「異名同音」は決して「同音」ではなくて、僅かながらも互いに音高差を持つ二つの音であるという。
「55分割法」によれば、一オクターヴを55に分割すると、全音は9/55に該当し、さらに半音というのは、4.5/55ではなく、5/55と4/55の二つの半音があるとのこと。具体的には、
ト⇔嬰ト(増1度)の関係は、4/55、
嬰ト⇔イ(短2度)の関係は、5/55、になるという。また、
ト⇔変イ の関係は、5/55、
変イ⇔イ の関係は、4/55、になる。
つまり、嬰トの方が、変イより1/55低い、ということになる。
そして、ピアノの調律(12平均律)においては、シャープ系の音を、0.5/55だけ高めにとり、フラット系の音を、0.5/55だけ低目にとるという操作をしていることになる(単にそれだけではなく、一オクターヴを48に分割し、全音を8/48、半音を4/48としてしまっている)。
先月の茂木大輔氏のブログに「展覧会の絵」の秀逸な分析があり、その中で「古城」の調性について言及されている。http://blogs.yahoo.co.jp/mogidaisuke/56605052.html
ムソルグスキーの指定はシャープ5つの嬰ト短調。しかし、茂木氏は実はそうではなく、変イ短調(フラット7つ)ではないかと推理する。直前のプロムナードが変イ長調、変イ短調の「古城」をはさんで次のプロムナードが(ロ長調ではなく)変ハ長調で開始され、途中からロ長調に変わり、「チュルリー」のロ長調から「ブイドロ」の嬰ト短調に至るのでは、というシナリオである。ひじょうに説得力のある仮説であり、まったくその通りではないかと思う。
さらに茂木氏は、36、45小節のオーボエ・ソロも、Dis-Cis-Hではなく、Es-Des-Cesなら何でもないとも述べている。
同じようなことが冒頭のファゴット・ソロにも言えるのではないか。Dis-E-Dis-Fis-E-Disという動きも、Es-Fes-Es-Ges-Fes-Esの方が自然のように私にも思われる。先ほどの理論に従えばフラット系の音階の方がシャープ系の音階より1/55だけ高くなる訳で、上記の違いは単にその微妙な高さの違いだけの話なのではあるが、自然に感じられるのはなぜなのだろうか?管楽器奏者は、同じ指遣いでありながら、フラットやシャープが付いた時の音高を微妙に吹き分けている、ということなのだろうか・・。不思議である。
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