帝国オーケストラ The "Reichsorchester"

これまでBSで放送されたり、DVDも発売されてはいたが、「ディレクターズカット版」というのを劇場で観た。
原語の副題はThe Berlin Philharmonic and the Third Reich。ヒットラーによって支配されていた「第三帝国」時代におけるベルリン・フィルという楽団の姿を、当時の団員の証言を中心に構成した記録映画。監督は「ベルリン・フィルと子どもたち Rhythm is it!」という作品
http://zauberfloete.at.webry.info/200710/article_3.html
を発表しているエンリケ・サンチェス=ランチ。
この映画はベルリン・フィルという対象を扱ってはいるが音楽映画では決してない。主題はあくまでも社会的なものであり、音楽は付随的に扱われているに過ぎなく、音楽面での内容を期待するとその期待は裏切られることになる。登場する元楽員は下記の通り。
○ハンス・バスティアーン(ヴァイオリン)
○エーリッヒ・ハルトマン(コントラバス)
○ディートリッヒ・ゲアハルト(ヴィオラ)
○ヘルムート・シュテルン(ヴァイオリン)
上記のうち、バスティアーン氏とハルトマン氏による「証言」が約7割を占めており、その他は元楽員の兄弟などへのインタビューという構成になっている。「証言」の内容は、第三帝国時代、ベルリン・フィルという楽団がどのような社会的な状況に置かれていたかということについて終始しており、その結果、我々はこのオーケストラがヒットラーによって徹底的に政治目的に使われていたことをあらためて知ることになる。
とはいえ、インタビューの合間に当時の貴重な映像も断片的に見ることができ、フルトヴェングラーによる「マイスタージンガー」や、クナッパーツブッシュによる「エロイカ」、チェルビダッケの映像なども見ることができる。私はあまりフルトヴェングラーの演奏は聴かないし、特に指揮姿をじっくり見たことはなかったのだが、一見すると全く異なるのではあるが何となくカラヤンに通じるものを垣間見たような気がした・・。
さて、シュテルンを除く上記3名の元団員は、先月発売された「証言・フルトヴェングラーかカラヤンか」にも登場するのだが、フルトヴェングラー時代のベルリン・フィルの「音楽」について知ると言う意味では本書の方がはるかに面白い。
http://zauberfloete.at.webry.info/200810/article_18.html
なお、この中で、バスティアーン氏はカラヤンの指揮について、「カラヤンは、フルトヴェングラーの音楽から、彼が余計だと思ったものを取り除いて、スリムにしただけです。」と語っている。

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